研究課題
鳥ロタウイルスPO-13株の11分節の各蛋白質のうち、モノクローナル抗体として確立済みのVP6およびNSP6以外の9蛋白質(VP1、VP2、VP3、VP4、VP7、NSP1、NSP2、NSP3、NSP5)に対する抗体を合成ペプチドにより作製した。結果として、3つの蛋白質(VP1、VP2、NSP5)に対する抗体を確立することができた。現在、残りの6蛋白質について部位を変えて合成ペプチド抗体の作製を行っている。同時に、本研究室でクローニングされているPO-13株の11本の分節ゲノム遺伝子の塩基配列の再確認を行った。確認後、全てのゲノム遺伝子cDNAを通常の逆遺伝子操作系で汎用されるT7プロモーターによる発現プラスミドに挿入した。発現が確認できる系において、細胞内での遺伝子発現を確認したところ、発現効率が極めて低いことが判明した。そこで、CMVプロモーターによる発現系に切り替え、発現プラスミドの再構築を行うこととした。これまでに、11本のうち、7本の遺伝子(VP1、VP2、VP3、VP4、VP6、VP7、NSP4)の発現プラスミドの構築を終えた。現在、残りの4本の遺伝子について発現プラスミドの構築を進めている。本研究の目的である鳥ロタウイルスの病原性解析を進めるため、PO-13株と病原性が異なる鳥ロタウイルスTy-1株、Ty-3株、Ch-1株の全ゲノムORFの塩基配列を決定・解析した。その結果、Ty-1 株のVP4遺伝子、Ty-3 株のNSP5遺伝子が新しい遺伝子型であることが判明した。また、新たにウシから検出された鳥ロタウイルスのVP4遺伝子の解析を行った結果、PO-13株に近縁でドイツにおいてウシで流行した993/83株に最も遺伝的に近いことが明らかとなった。
3: やや遅れている
当初の計画では、PO-13株の11蛋白質に対する抗体作製が終了する計画であったが、6つの蛋白質に対する抗体作出が失敗したため、やや進行が遅れているとした。その他については、概ね計画通り研究が遂行されている。
遺伝子操作系の確立のためには、各ウイルス蛋白質の発現状況の把握が重要となる。従って、確立できなかった6蛋白質に対する抗体の作出を進める。T7プロモーターをCMVプロモーターに変更した発現プラスミドを使って発現状況を確認し、プラスミドからのウイルスの回収を試みる。回収が難しい場合、細胞の変更、ポリA付加シグナルの挿入などの工夫を加える。
初年次に計画した抗体の確立に関し、その作出に時間を要し、年度をまたいでいるため
すでに6つの合成ペプチド抗体作出の発注を終えているため、5月には予算の消費が見込まれる。
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Journal of Veterinary Medical Science
巻: 77 ページ: 221-224
10.1292/jvms.14-0379