研究課題
鳥ロタウイルスPO-13株の逆遺伝子操作系を確立するため、H26年度に引き続き、CMVプロモーターの下流に各遺伝子分節RNAのcDNAを導入し、その支配下で各ウイルス蛋白質がより効率的に発現するプラスミドを構築した。今年度は、これまで構築していなかった計3分節の発現プラスミドを作製することに成功し、結果としてゲノム全11分節遺伝子の発現プラスミド(遺伝子・蛋白質発現プラスミド)を確立することができた。これら11種類のプラスミドを、ロタウイルス高感受性のMA104細胞の他、COS7細胞、HEK293T細胞、Vero細胞、あるいはBHK細胞に導入することにより、感染性ウイルスの回収、すなわち本ウイルスの遺伝子操作系の確立を試みたが、これまでに感染性ウイルスが回収できず、成功には至っていない。さらに、プラスミド導入細胞とMA104細胞との共培養により、微量なウイルスの増幅も試みたが、感染性ウイルスを回収することはできなかった。上記の各遺伝子・蛋白質発現プラスミドによるウイルス蛋白質の発現を確認するためには、それぞれの蛋白質を認識する抗体が必要となる。H27年度は、前年度に合成ペプチドの免疫により得ることができなかった計6種類の蛋白質(VP3、VP4、VP7、NSP1、NSP2およびNSP3)について、プラスミド免疫法による抗体の作製を試みた。上記のウイルス蛋白質を発現する免疫用プラスミドの構築をすべて終え、現在、マウスへの接種を複数回実施している。
3: やや遅れている
世界で初めてとなるロタウイルスの遺伝子操作系の確立が遅れているため、病原性の解析が進んでいない。
PO-13株の逆遺伝子操作系を確立するため、各種の遺伝子・蛋白質発現プラスミドの導入比率の検証を行なっていく。さらに、プラスミドを導入する培養細胞の種類についても、さらに検証を続ける。計11分節の遺伝子・蛋白質発現プラスミドからの蛋白質発現が低効率である可能性を考慮して、ウイルス複製に重要と考えられる蛋白質については、別にプラスミドを構築し、遺伝子・蛋白質発現プラスミドと共に細胞に導入する予定である。
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