研究課題
鳥ロタウイルスPO-13株の逆遺伝子操作系を確立するため、H27年度までは、ゲノム全11分節遺伝子の各cDNAをCMVプロモーターの下流に挿入したプラスミドを構築した。それらプラスミドを複数の培養細胞に導入したが、感染性のウイルスを回収することができなかった。これらの結果は、11種類のプラスミドが効率的に細胞に導入されていないことが原因の一つであると想定し、今年度は、遺伝子導入方法の改変を行った。すなわち、細胞がより多くの遺伝子コピー数を取り込むことができるように、構築したプラスミドを鋳型としてCMVプロモーターとウイルスゲノム遺伝子の領域をPCRで増幅させ、発現のための最小機能構造を持つ断片化DNAとして細胞に導入した。ゲノム遺伝子のORFをルシフェラーゼ遺伝子に置換したモデルゲノムを用いた解析により、ロタウイルスのポリメラーゼが共存する条件では、ルシフェラーゼ産生が増加することを確認した。この結果は、改変した遺伝子導入方法でロタウイルスのレプリコンが作動していることを強く示唆した。そこで、全11分節遺伝子を断片化DNAとして細胞へ導入したが、現在まで感染性ウイルスの回収はできていない。しかし、ロタウイルスのレプリコン系はこれまでに報告がなく、この方法の応用はロタウイルス遺伝子の転写・複製機構に関与すシス、トランス因子の解析を可能にし、病原性発現分子機構の解明に貢献することが期待できる。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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J. Gen. Virol.
巻: 97 ページ: 1158-1167
10.1099/jgv.0.000433