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2015 年度 実績報告書

CRISPR/Cas9システムを用いたゲノム編集によるPRRS抵抗性ブタの開発

研究課題

研究課題/領域番号 26292151
研究機関九州大学

研究代表者

小野 悦郎  九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00160903)

研究分担者 河原崎 達雄  東海大学, 農学部, 教授 (70500247)
柴田 昌利  静岡県畜産技術研究所, その他部局等, その他 (70501443)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード豚繁殖・呼吸障害症候群 / ゲノム編集 / 抗病性動物 / PRRS
研究実績の概要

豚繁殖・呼吸障害症候群(PRRS)は、口蹄疫、高病原性鳥インフルエンザ等と同様に多様な抗原性を示すウイルスによる感染症であり、ワクチンプログラムで本病を制御することは極めて困難である。そのような感染症の新たな制圧方法として、遺伝子改変技術による抗病性動物の開発が提唱されて久しいが、未だ家畜での成功例は報告されていない。本研究課題では、PRRS抵抗性ブタの開発を目的に、次世代遺伝子改変技術であるCRISPR/Cas9システムを利用して、PRRSウイルスのレセプター分子であるCD163及びSiglec1遺伝子をゲノム編集し、PRRSウイルス感染抵抗性ブタを開発することを目的として、以下の実験を実施した。
1) ゲノム編集用プラスミドのブタ受精卵前核へのインジェクションによるゲノム編集操作を3回実施した。1回目は、39個の胚を移植し6頭の産仔が得られたが、塩基配列の解析の結果、ゲノム編集は認められなかった。2回目は、10個の胚を移植し1頭の白仔が得られたが、塩基配列の解析の結果、ゲノム編集は認められなかった。3回目は、9個の胚を移植したが着床しなかった。
2) ゲノム編集用合成crRNA+tracrRNA+Cas9蛋白の受精卵前核へのインジェクションによるゲノム編集操作を実施し、35個の胚を移植したが着床しなかった。
3) ゲノム編集用合成sgRNAとCas9 mRNAの細胞質へのインジェクションによるゲノム編集操作を2回実施した。1回目は、66個の胚を移植し妊娠を確認したが、母ブタが原因不明の胃破裂により死亡し産仔は得られなかった。7頭の死亡した胎仔について、塩基配列の解析を実施したが、ゲノム編集は認められなかった。2回目は、9個の胚を移植したが着床しなかった。
以上の結果から、操作が簡単な細胞質へのインジェクションによる方法を選択し、仮親ブタへの移植胚数を40個以上とすることにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

ゲノム編集方法の検討(プラスミド或は合成crRNA+tracrRNA+Cas9蛋白の受精卵前核へのインジェクション、合成sgRNAとCas9 mRNAの細胞質へのインジェクションの優劣の評価)並びにインジェクション後の受精卵の仮親への移植条件の検討に時間を要しため、充分な産仔数が得られず、ゲノム編集ブタの作製までに至っていないため、遅れていると自己判断した。

今後の研究の推進方策

1)平成27年度に得られた検討結果に基づき、ゲノム編集操作がより簡単な細胞質へのインジェクションによる方法を選択し、合成sgRNAとCas9 mRNA或は合成sgRNAと核移行シグナル付きCas9蛋白の受精卵細胞質へのインジェクションを実施し、仮親ブタへの移植胚数を40個以上とすることでゲノム編集ブタの作製を試みる。
2)ゲノム編集の効率が悪く目的のブタが得られない場合には、ゲノム編集のターゲット部位を新たに検索し、必要なプラスミド、RNAを構築する。
3)受精卵でのゲノム編集が上手くいかない場合やモザイク個体が得られた場合には、ブタでは体細胞クローン技術が確立しているので、ヨークシャー種の線維芽細胞を用いて、ゲノム編集を実施し、体細胞クローン胚作製用に準備する。

次年度使用額が生じた理由

ゲノム編集方法の検討(プラスミド或は合成crRNA+tracrRNA+Cas9蛋白の受精卵前核へのインジェクション、合成sgRNAとCas9 mRNAの細胞質へのインジェクションの優劣の評価)並びにインジェクション後の受精卵の仮親への移植条件の検討に時間を要しため、充分な産仔数が得られず、平成28年度に最適条件でのゲノム編集を実施するため次年度使用額とした。

次年度使用額の使用計画

家畜ブタの発情期の春と秋に合成sgRNAとCas9 mRNA或は合成sgRNAと核移行シグナル付きCas9蛋白の受精卵細胞質へのインジェクションを計画しており、これら試薬、ブタおよび飼料等の購入に使用する予定である。

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公開日: 2017-01-06  

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