研究課題/領域番号 |
26292153
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
高井 伸二 北里大学, 獣医学部, 教授 (80137900)
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研究分担者 |
角田 勤 北里大学, 獣医学部, 准教授 (80317057)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ロドコッカス・エクイ / 病原性プラスミド / 毒力関連抗原 / 馬 / 強毒株 / 化膿性肺炎 / Pathogenicity island / 病原性獲得 |
研究実績の概要 |
Rhodococcus equiは、1~3ヵ月齢の仔馬の化膿性肺炎の原因となるグラム陽性球桿菌である。強毒株は病原性プラスミドを保有し、プラスミド上のpathogenicity island(PAI)にコードされる毒力関連抗原VapAをマクロファージ内で発現することで毒力を示す。VapAの発現は様々な環境因子によって制御されている。PAIにコードされているLysR型の転写制御因子であるvirRと二成分制御系因子のvirSはVapAの発現を制御すると報告されている。VirRはvirSを含むオペロンの転写を正に制御することが報告された。また、VirSはvapAプロモーター活性に必須であることが明らかになっている。本研究では、VirRの機能に着目し、virRの欠損株とその相補株を用いた実験を行った。virR欠損株では培養条件によらず、vapAプロモーター活性が低下した。virR欠損株でVirSを強制発現させたところ、vapAプロモーター活性が上昇した。これより、VirRはVirSを介して間接的にVapAの発現制御を行っている可能性が示唆された。VirRの機能を調べる目的で、VirRの1アミノ基を別のアミノ基に置換した株を複数作製し、VapAの発現への影響を調べた。過去の研究で、同じLysRファミリーに属する他の転写因子において、置換するとタンパク質が恒常的活性化を示した部位のアミノ基に変異を加えた。その結果、VirRの98番目のロイシンをグルタミン酸に置換した株で、培養条件によらずvapAプロモーター活性の著しい上昇がみられた。これより、VirRの構造がpHと温度の両方の制御に関与している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、強毒株が保有する病原性プラスミドpathogenicity island獲得過程を明らかにするもので、現在18種類存在する強毒株の病原性プラスミドの比較検討と機能解析を同時に行っている。研究成果は機能解析について述べているが、病原性プラスミドの比較検討も順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度の実験計画に沿って、研究を進める。現時点では、遺伝子機能解析も順調に進展している。病原性獲得の解析のため環境動物腸内フローラ解析を進める。
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