研究課題/領域番号 |
26292156
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
佐藤 繁 岩手大学, 農学部, 教授 (50455755)
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研究分担者 |
櫛引 史郎 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, その他部局等, 研究員 (30355218)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | SARA(潜在性ルーメンアシドーシス) / 子牛 / ルーメン(第一胃) / pH / エンドトキシン / 内分泌機能 / 離乳 / 免疫機構 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、「離乳期飼料の成分構成とSARA発症との関係」の追加試験を行うとともに、「SARA発症子牛におけるエンドトキシンカスケードと病態生理の解明」について検討した。ホルスタイン種哺乳雄子牛を10頭を供試し、種々の飼料給与条件下で7週齢から離乳を開始、8週齢で離乳する試験を実施した。また、離乳後の子牛にグルコースを経口投与してSARA発症試験を実施した。いずれも、4週齢時に小径型ルーメンフィステルを装着、5週齢時に無線伝送式pHセンサーをフィステルから投入した。ルーメン液pHを10分間隔で測定し、離乳前後およびグルコース投与前後の変動を解析した。ルーメン液中のVFA産生、エンドトキシン活性および細菌叢構成を解析した。また、免疫機能としてサイトカイン活性、血漿中の炎症関連物質としてエンドトキシン、炎症性サイトカイン、LBPおよび急性期タンパク濃度を測定した。内分泌機能では血漿中成長ホルモン(GH)、インスリン様成長因子-1(IGF-1)およびインスリン濃度(グルコース濃度も測定)を測定し、SARA発症における炎症反応とインスリン抵抗性の変化をルーメン液および血漿中エンドトキシン濃度との関連から解析した。 その結果、「離乳期飼料の成分構成とSARA発症との関係」では、前年度に行った試験と同様の結果が得られ、離乳前後の子牛に対する乾草給与は、第一胃発酵を促進させてpHを上昇させる作用のあることが確認された。また、ルーメン液の細菌叢構成は、乾草給与牛と非給与牛で明らかな差異が認められ、乾草給与牛では非給与牛に比べて細菌叢が多様性に富むことが明らかとなった。さらに、「SARA発症子牛におけるエンドトキシンカスケードと病態生理の解明」では、ルーメン液エンドトキシン活性が各種パラメータの変動と密接な関連があること、また、子牛の離乳方法がSARA発症に影響することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通り、離乳期飼料の成分構成とSARA発症との関係、また、SARA発症子牛におけるエンドトキシン活性値と各種の炎症および代謝パラメータとの関係について検討した。平成27年には、さらに10頭の子牛を追加して試験を行い、種々の飼料給与条件下で離乳させる追加実験を終了した。ルーメン液のpHやVFAのほか、次世代シークエンス法による細菌叢解析、血漿中の炎症関連物質と急性相タンパク、各種内分泌機能検査を終了した。ルーメン液エンドトキシン活性と各種パラメータとの関係については、さらに詳細に解析中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究についても、当初計画通りに遂行する予定である。また、現在実施中のルーメン液エンドトキシン活性と各種パラメータ(特に炎症反応やインスリン抵抗性)との関係に関する解析が終了後、離乳子牛におけるSARAの予防対策を検討するとともに、SARA子牛のルーメン粘膜機能に関する研究に着手する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
共同研究のために消耗品類などの物品費の節約に努めた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に消耗品費等の物品費あるいは旅費として使用する予定である。
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