研究課題
感染症対策としての牛ウイルス性下痢ウイルス(BVDV)清浄化のための監視検査を進めつつ、引き続きバルク乳検査と公共牧野への入牧牛検査を実施し、BVDV汚染牛群の動向を追跡調査した。永年にわたるサーベイランスの継続によって、BVDV持続感染(PI)牛の発生数は減少傾向にあり、検査の有用性が明らかとなった。前年度までの大規模な監視検査の継続によって、北海道内におけるBVDV感染症の流行状況は様々であることが明らかとなり、ワクチン接種のみによるBVDの予防は困難であると考えられた。BVDVの農場間伝播は、子宮内で胎子感染している妊娠牛が牛群間を移動し、移動先で娩出される子牛がPI牛として潜伏することによって新たな牛群での流行源となる場合が多いことが判明した。清浄化が確認されていない牛群からの牛の移動の際には、BVDV検査を実施することの重要性が再認識された。既成の免疫応答能の概念にとらわれないBVDVのPI成立に特異的な因子としての可能性のある事項について、感染拡大の危険因子として考えられる検討課題を疫学的に分析した。従来の概念によるPI牛の産出は、子宮内感染による胎子への影響が必須であると考えられていた。しかしながら、出生後の免疫応答能の不十分な状態でのBVDV急性感染によっても、BVDVが長期間にわたって末梢血から検出される事例が認められ、見かけ上PI牛のような経過をとることが確認された。出生後の検査でウイルスが検出されなくても、離乳までの時期の子牛の飼養環境によっては、急性感染が引き金となってPIが成立する可能性が見いだされた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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