研究課題/領域番号 |
26292163
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
武内 ゆかり 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (10240730)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 行動学 / 気質 / 攻撃性 / ゲノム / 犬 |
研究実績の概要 |
本年度は実施計画に基づいて研究を実施し,以下の成果を得た。 1)攻撃性と気質評価に特化したアンケートの作成;既に作成していた「攻撃性とそれに関わる気質を調査するためのアンケート」について,これまで得られていた行動診療科受診個体のデータをもとに因子分析を実施し,因子構造が安定するよう改良を加え,より攻撃性とそれに関わる気質の評価に特化したアンケートを作成した。基本的にこれによって「接触性の攻撃性」,「日常手入れに対する攻撃性」,「所有性の攻撃性」「縄張り性の攻撃性」が識別できる見通しが立った。さらに「不安(恐怖)性の攻撃性」を識別するために,このアンケートに,かかりつけ獣医師による客観的評価項目を加えてアンケートを完成させた。 2)攻撃性と気質が評価された個体の血液サンプル収集;平成26年10月より,日本獣医動物行動研究会を通じて動物病院に所属する獣医師にサンプリングを依頼し,現時点ではチワワ136サンプルとトイプードル193サンプルを集め,アンケート内容を入力して解析を開始した。血液サンプルは,フィラリア血液検査時に多く集まるため,平成27年度も収集を継続している。 3)候補遺伝子解析;先行研究で収集した約800頭分の柴犬サンプルにおいてGWASデータを参照したところ,‘刺激反応性’気質とGABRR2(GABA A受容体ρサブタイプ2受容体)遺伝子(イントロン)上のSNPsが関連傾向にあることが明らかとなったため,GABRR2遺伝子について,ビーグル12頭のcDNA(扁桃体由来)からエクソン上のSNPsを探索したところ,エクソン1,4,6,9上の計4ヵ所にSNPsが,イントロン8上に200bp程度の挿入欠失が存在することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基本的に研究計画通りに実施されている。サンプルの収集については,これからのフィラリア検査時における,動物病院の協力に依存することになるが,チワワ,トイプードルについてそれぞれ500サンプルは到達可能と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
現時点では特に問題は生じていないため,基本的に研究計画通りに実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は,サンプルを収集し次第,DNA抽出を随時行っていく予定であったが,それよりは全てのサンプルを収集してから一括して抽出した方が効率的であると判断したため
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次年度使用額の使用計画 |
当初の予定通りDNA抽出経費として使用する予定である。
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