本年度は実施計画に基づき,「他人に対する攻撃性」について追加タイピングを行うとともに,「犬に対する攻撃性」についても解析した。また,それぞれの攻撃性については,「攻撃に転じた理由」によって細分化し、「恐怖による攻撃性」および「縄張り防衛による攻撃性」に関してもGWASを実施した。 「他人に対する攻撃性」については,3犬種ともに有意に関連するSNPは見つからなかったものの,柴犬では,関連傾向がみられるSNP(BICF2S233562)が認められたため,新規に追試群を選抜し再現性の確認を行ったが,有意差は認められなかった。 続いて,トイプードルとチワワについて「恐怖による他人に対する攻撃性」と「縄張り防衛による他人に対する攻撃性」のGWASを行ったところ,トイプードルの「縄張り防衛による他人に対する攻撃性」に関して,有意に関連するSNP(BICF2G630317765)が認められたため,新規に追試群を選抜し再現性の確認を行ったが,有意差は認められなかった。 「犬に対する攻撃性」については,チワワにおいて有意に関連するSNP(BICF2P1127578)が見つかったため,新規に追試群を選抜し再現性の確認を行ったが,有意差は認められなかった。 続いて,トイプードルとチワワについて「恐怖による犬に対する攻撃性」と「縄張り防衛による犬に対する攻撃性」のGWASを行ったところ,トイプードルの「縄張り防衛による犬に対する攻撃性」に関して,有意に関連するSNP(BICF2P13357,BICF2P1091383,BICF2P355095)が認められたため,新規に追試群を選抜し再現性の確認を行ったところ,関連傾向が認められた(カイ二乗検定,P=0.0672)。 すべてのGWASについて,犬種横断的な解析も実施したが,有意な結果は得られなかった。
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