研究課題
基盤研究(B)
本研究では,攻撃性と気質評価に特化したアンケートを作成し,犬の飼い主よりチワワ372頭,トイプードル537頭の血液およびアンケートの回答を収集した。アンケート回答結果を検討した上で,特定の表現型についてゲノムワイド関連解析を実施したところ,攻撃性を気質やその動機づけによって細分類することで,従来得ることのできなかった関連性が示唆される遺伝子多型が検出され,犬の攻撃性に関わる感受性遺伝子多型の一部がリストアップされることとなった。
獣医学・応用動物科学
本研究によって犬の攻撃性に関わる感受性遺伝子多型がリストアップされれば,診断に際して臨床経験に頼りがちな動物の行動疾患に対する客観的な診断方法の確立に資するだけではなく,感受性多型の機能解析により攻撃性に対する新規治療法開発の道が拓かれることになる。また,本研究が進展すれば,犬の問題行動治療という観点に留まらず,攻撃性が不適正とみなされる身体障害者補助犬の育成効率の改善や動物福祉に配慮した飼育方法の見直し,といった予防・制御的観点からも意義が大きいと考えられる。