研究課題/領域番号 |
26292168
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
木村 康二 岡山大学, その他の研究科, 准教授 (50355070)
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研究分担者 |
今井 裕 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (10303869)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 栄養膜細胞 / 人工多能性幹細胞 / 着床 / 妊娠 / ウシ |
研究実績の概要 |
妊娠50日齢のウシ胎子から採取した羊膜細胞にOct3/4、Sox2、Klf4、c-MycをDoxプロモーター下流に挿入したpiggyBacトランスポゾンベクターをトランスフェクトした後DOX添加状態で4日間培養した。その後、細胞をSNL細胞フィーダー上へとうす地培養を継続した。DOX添加から2週間後、上皮細胞様で敷石状の形態を示すコロニーが確認できた。このコロニーは、その細胞形態を維持したまま40回以上経代して培養することが可能であった。またこの細胞コロニーを細切し、低接着処理したウェル内で数日間浮遊培養したところ、栄養膜小胞状の胞状球体を形成することが明らかとなった。さらにこの小胞状細胞の培養上清を回収し、MDBK-VSVを用いた抗ウィルス活性測定に供したところ、抗ウィルス活性を示した。この細胞株の遺伝子発現を調べたところ、内因性Oct4、NanogといったES細胞や内細胞株で発現が見られる未分化細胞マーカーの発現が確認されただけでなく、Cdx2、TEAD4、Dlx3、TKDP、GATA6といった栄養膜細胞系で発現する遺伝子の発現も確認された。しかしながらPLやPRP1といった二核細胞で発現する遺伝子の検出は出来なかった。 さらにこの細胞株は一般の細胞株と同様の凍結保存手法では凍結融解後の生存率はほぼ0%であり、細胞の長期保存が不可能であったが、ウシ受精卵と同様の凍結手法を用いることによって80%以上の生存率を担保することが出来、凍結による長期保存が可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初目標としていた人工栄養膜様の細胞株の樹立には成功し、おおむね順調に研究が遂行出来ていたが、研究代表者の異動(所属変更)に伴う実験環境の変化により、研究の遂行に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の研究計画の遅延は今年度内に解消する予定である。具体的には樹立した栄養膜細胞株の二核細胞への分化を今年度の実施計画に組み入れる。また、研究代表者の所属変更に伴い実験の一部を旧所属研究機関で実施しなければならず、そのため、旧所属研究機関の研究者1名を分担者として追加し、研究のスムーズな進捗を計る。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者が異動したため研究の進捗に遅れが生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
H26年度に実施できなかった研究項目に関してはH27年度に実施するため、未使用予算はこの経費に用いる。
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