平成29年度の主な成果として、I)原核生物に対するディアフォリンの新規生物活性の発見、II)ヒト正常細胞に対するディアフォリンの生物活性の解明、III)ミカンキジラミ体内でのディアフォリンの局在の解明、IV)キジラミ新規共生細菌2種の全ゲノム塩基配列の決定、V)ミカンキジラミ近縁種からのProfftella姉妹系統共生細菌の発見、が挙げられた。これを踏まえ、研究期間を延長して臨んだ平成30年度は、次のように研究が進捗した。I)については原核生物に対するディアフォリンの生物活性の検証を進め、得られた成果に基づいて特許を出願した。II)については、ディアフォリンの抗がん活性に関する原著論文をまとめ、創薬シード化合物としてのディアフォリンの可能性について考察した。III)については、ミカンキジラミ体内におけるディアフォリンの動態の検証をさらに進め、ミカンキジラミの発生に伴うディアフォリン濃度の変遷、およびディアフォリン合成関連遺伝子群の発現レベルの変化を解明した。これは、自然界におけるディアフォリンの生理・生態学的機能について新たな示唆を与えるもので、ミカンキジラミの生物学的防除に向けた基盤情報となる。IV)については、決定されたキジラミ新規共生細菌2種の全ゲノム塩基配列に基づき、比較ゲノム解析を進めた。V)については、ミカンキジラミ近縁種から発見されたProfftella姉妹系統共生細菌のゲノム解析を進め、プラスミドにおける1箇所のギャップを除いてほぼ全塩基配列を決定した。
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