研究課題
外的撹乱に対して『土壌微生物生態系は強靱で安定している』と言われている。その安定とは微生物群集の構造なのか機能なのか。本研究は、抵抗性、復元力、機能重複性を安定性指標として、短期高温撹乱と長期低温撹乱を起こした森林土壌の微生物生態系の維持機構を明らかにすることを目的とした。(1)山形大学農学部鶴岡演習林で毎年行われている山焼き(短期・高温撹乱)の土壌と(2)北海道大学苫小牧研究林内の10年以上継続している地表温暖化実験区(長期・低温撹乱)の土壌を対象として、経時的な土壌微生物群集組成や多様性の構造の変動解析を行った。<短期・高温撹乱>火入れフィールド内の3地点において、2014年火入れ前と火入れ後1日から経時的に3年後(7回採取)、2015年も同様に火入れ前と火入れ後1日後から2年後(5回採取)の土壌を解析した。解析対象生物種は細菌、糸状菌、真核微生物、繊毛虫である。対象リボゾーム遺伝子領域の増幅後、次世代シークエンサーを用いて塩基配列を決定し、群集解析を行った。その結果、2014年と2015年ともに火入れ直後に、バイオマスは劇的に減少し、徐々に増加し1年後以降保たれている。全対象生物種の群集組成は2年以上にわたり変化させながら、火入れ前組成に近づきつつある。特に細菌群において、直後に単一種が優先する多様性の消失が観察され、群集構造の回復力は大きい。<長期・低温撹乱>2006年温暖化開始から2009年、2011年と2016年の土壌を解析した。10年間の土壌温暖化にもかかわらず、無処理区と比較しても、どの生物種も種構成に著しい変化は観察されなかった。両フィールドにおいて、各生物種の変動と環境メタデータについて総合的な変動解析と多変量解析を進行中である。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Microbes and Environments
巻: 32 ページ: 103 - 111
10.1264/jsme2.ME16154