研究課題/領域番号 |
26292183
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研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
中村 進一 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (00322339)
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研究分担者 |
中井 雄治 弘前大学, 学内共同利用施設等, 教授 (10321788)
藤巻 秀 独立行政法人日本原子力研究開発機構, その他部局等, グループリーダー (20354962)
鈴井 伸郎 独立行政法人日本原子力研究開発機構, その他部局等, 研究副主幹 (20391287)
頼 泰樹 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教 (30503099)
大津 直子 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (40513437)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | グルタチオン / カドミウム / PETIS |
研究実績の概要 |
本研究の目的はこれまでの研究によって見出すことができた植物の根に部位特異的に与えたグルタチオンが植物体の地上部へのカドミウムの移行と蓄積を選択的に抑制する現象の分子メカニズムを解明し、それらを新たな栽培技術の確立に向けて応用展開するための研究基盤を確立することである。 グルタチオンがカドミウム動態に及ぼす影響の経時変化を調べた。その結果、処理開始後、約10日経過するとカドミウムの蓄積のパターンが質的に変化することが明らかになった。植物体の地上部のカドミウム含量はカドミウム処理開始後、約10日で飽和に達した。この植物体の地上部におけるカドミウム含量が飽和に達するのと同じようなタイミングでグルタチオン処理をした植物根のカドミウム含量が対照区の植物根のカドミウム含量と比べて増加傾向を示すようになった。一方、ポジトロンイメージング実験の画像解析結果より、カドミウム吸収のきわめて初期の段階(カドミウム処理開始後1時間程度)では、根へのカドミウムの蓄積のパターンにはグルタチオン処理の影響はほとんどないことが明らかになった。この実験結果は、処理開始直後の根圏から植物根へのカドミウムの移行(主にカドミウムの根への物理的な吸着)に関しては、カドミウム-グルタチオン複合体とフリーのカドミウムとではほとんど差がないことを示唆している。また、アラビドプシスの形質転換体を用いた実験では、カドミウムの植物体の地上部への移行と蓄積を抑制する時に植物根でグルタチオンが機能する場所を示唆するような実験結果を得ることができた。現在はアラビドプシスを用いた実験から得られた研究成果をまとめて、学術論文に投稿する準備をしているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度に得られた研究成果より、この現象に関与することが予想される分子メカニズムの仮説を構築することができた。
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今後の研究の推進方策 |
構築した仮説を実証するために、根タンパク質のプロテオーム解析、グルタチオン処理に応答する遺伝子群の発現解析に注力する。 また、新たな形質転換体の創製にも取り組み、グルタチオンが植物体内におけるカドミウム動態に及ぼす影響を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
タンパク質のアミノ酸配列を決定する実験や標的遺伝子の発現解析を行う実験で高額の試薬類を購入することが予想されたため。 人件費の使用を節約することができたため。
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次年度使用額の使用計画 |
上記の記載の実験計画を遂行するための経費執行を行う。
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