研究課題
【背景と目的】好気的な鉛直流ろ床と嫌気的な水平流ろ床を組合せた多段型のハイブリッド伏流式人工湿地ろ過システムは窒素の浄化処理能力が高く、畜産廃水などの有機性汚水処理への利用が進んでいる。しかし、C/N比の低い有機汚水の処理においては硝酸態窒素の残存が課題となる。アナモックス菌は亜硝酸とアンモニアから窒素ガスを生成させる微生物であり、この反応に炭素源を必要とせずに汚水中の窒素を除去できる。水質条件やろ過資材の性状など、人工湿地の状況に応じたアナモックス菌の分布を解明することにより、アナモックス反応を活用したハイブリッド伏流式人工湿地の開発に資する。【方法】(1) 畜産系有機性廃水(豚舎汚水、酪農雑廃水、チーズ工場廃水など)を処理するハイブリッド伏流式人工湿地7施設において、3~10年間にわたり処理水質を継続して調査した。(2) 原水及び各段からの処理水についてリアルタイムPCRにより処理水中のアナモックス細菌数の定量解析を行った。(3) 人工湿地の処理水質とPCR分析の結果から、ハイブリッド伏流式人工湿地においてアナモックス反応を促進するのに好適な処理システムの条件を検討した。【結果と考察】(1) 水質調査の結果、人工湿地による有機物や窒素の浄化効率は5~10年間の長期にわたり冬期も含めて安定していることが判った。(2) 7施設のPCRデータ解析の結果、アナモックス細菌数は、汚水の有機物濃度(BOD及びCOD)が高いほど少なく、また亜硝酸濃度が高いほど多く、厳冬期(2月)を除いて安定して存在していた。(3) アナモックス反応を促進するには、BODが少なくなる伏流式人工湿地システムの後半の酸化的ろ床において、弱アルカリ性のろ材を用いつつ処理水の一部を循環させることにより、亜硝酸を継続的に発生させて、アンモニアと亜硝酸が共存するのに好適な条件を整えることが好ましいと考えられた。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Environmental Technology
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