研究課題/領域番号 |
26292188
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山口 淳二 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (10183120)
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研究分担者 |
佐藤 長緒 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (50609724)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ユビキチンリガーゼ / 栄養学 / 膜交通 / 蛋白質 / 植物 |
研究実績の概要 |
本研究では「膜局在型植物ユビキチンリガーゼATL31による環境シグナル伝達調節の包括的解明」を目指し,3研究課題に取組んでいる。H26年度は以下のような成果を得た。 計画1)免疫応答Ⅰ-病原体認識レセプターFLS2によるATL31のリン酸化制御: ATL31はP. syringaeのような病原性細菌への植物の防御応答に関与する。植物は,この病原体の鞭毛に由来するペプチドflg22を認識することで,抵抗性を発動させる。flg22認識の分子実体が膜貫通型レセプターキナーゼFLS2である。ATL31の遺伝子発現がflg22処理で増加する。FLAG標識したATL31を過剰発現させた植物体において,flg22ペプチド処理を行うと,ATL31のリン酸化が検出された。さらに,アグロインフィルトレーション法を用いて,FLS2-GFPとATL31-FLAGをタバコ葉に導入したところ,flg22の有無にかかわらず共免疫沈降した。上記に加えて詳細な解析から,1)ATL31はFLS2と結合すること,2)flg22処理でATL31のリン酸化が促進すること,3)ATL31はユビキチン化活性依存的にflg22で誘導される免疫反応を促進することが確認できた。以上の結果から,flg22の認識によるFLS2の活性化によってATL31のリン酸化が誘導され,これに伴いATL31は何らかの標的タンパク質をユビキチン化し,免疫反応を促進することが示唆された。また,その下流として,ROSの産生,MAP kinaseの活性化等もATL31依存的であることを証明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ATL31相互作用蛋白質として,FLS2,CERK1等を探索し,その結合と機能について証明しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
計画2)免疫応答Ⅱ-flg22応答ATL31相互作用因子とそのユビキチン化制御: FLS2複合体は,細胞表層に局在するだけでなく,エンドサイトーシスを介して内膜系に内包されることも報告されている。ATL31によるユビキチン修飾が,FLS2複合体のタンパク質の分解に働くのか,また膜交通を介した細胞内局在性の変動に繋がるのかについて,様々な手法を駆使して検討し,最終的な結論を得る。上記の研究計画を遂行することにより,ATL31による細胞膜における病原体認識-免疫活性制御機構の全容を解明する。 また,カビの病原体受容体であるCERK1とATL31との相互作用解析も実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に形質転換植物を用いた詳細な機能解析を実施するため。
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次年度使用額の使用計画 |
形質転換植物を用いて,プロテオミクス等詳細な機能解析を実施する。
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