本研究の目的は、1)タンパク質-タンパク質間で起きるタンパク質表面認識であるヘリックス-ヘリックス相互作用と2)それに引き続くタンパク質表面反応であるトランスニトロソ化反応を、それぞれ制御する生体アミノ酸の機能を超越するプロリン様アミノ酸の構造機能化を研究し、タンパク質表面認識・反応を人工的に制御する化学基盤を構築することにある。S-ニトロソシステインより安定だかトランスニトロソ化能を有するプロリン誘導体のN-ニトロソアミンの機能化や生体にあるαヘリックスとは異なる構造規則性を有するヘリックス分子の構造を多様化し創製し、タンパク質の表面での相互作用を介して特異的なS-ニトロソ化を起こし、タンパク質の機能を制御するための基本となるタンパク質の表面認識・反応の基盤化学を構築する。S-ニトロソシステインとα―ヘリックスという天然α―アミノ酸が構成する生体機能構造を、より高機能で予測可能なロバストな分子構造で置き換えることを実施する。特定のタンパク質表面と選択的に相互作用する仕組みとして、非生体ヘリックス分子との相互作用やリガンド結合を利用し、標的タンパク質の表面のシステインのS-ニトロソ化を実現する分子を合成する。相互作用・反応点のモデリングによる事前評価を行い、本研究者が創製したN-ニトロソアミンのトランスニトロソ化反応と光切断型NO発生反応を特定タンパク質の表面反応として利用する方法論を有機合成研究と細胞を使った研究で確立・検証を行った。
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