研究課題
本年度は、まず、新たに同定したASK1シグナル複合体構成因子としての感染ストレスセンサーDHX15について、その生理機能の解析と炎症・自己免疫疾患モデルにおける評価を行った。マクロファージ特異的なDHX15コンディショナル欠損マウスを樹立し、その骨髄由来マクロファージ細胞を用いて、LPSなどの炎症刺激を加え、その下流シグナルを検討したところ、ASK1-p38経路には顕著な変化は認められなかったが、JNKなどの他のシグナルは著しく低下し、幾つかの炎症性サイトカインの産生がDHX15欠損マクロファージで減少していることが判明した。さらに、このDHX15欠損マウスでは、炎症性大腸炎モデルでの生存率が上昇することが分かった。本結果から、DHX15が新たな免疫シグナルの制御分子であることが明らかとなり、現在、DHX15が標的とする免疫シグナル分子の同定と機能解析を進めており、ASK1との関係も含め、DHX15による免疫シグナルの制御機構の全貌を解明したい。一方で、ユビキチン化によるASK1活性制御機構、及び免疫シグナル制御機構についても検討を行った。特に、ASK1活性化因子として同定したユビキチン化酵素TRIM48のユビキチン化分解の標的が、ASK1阻害分子であることを明らかにし、実際に、TRIM48によるASK1阻害分子のユビキチン化分解が、ASK1活性化、及び、それに伴う細胞死の亢進の分子メカニズムであることを明らかにした。また、ASK1のユビキチン化酵素Roquin-2のノックアウト細胞を作成し、この欠損細胞では、免疫シグナルや炎症性サイトカイン産生が著しく変化すること、また、TRIM48によるASK1活性化に伴って誘導されるASK1ユビキチン化もRoquin-2が行っていることが証明され、これら分子の相互作用によって免疫シグナルのバランス制御が行われていることが判明した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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