研究課題/領域番号 |
26293012
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
仁科 博史 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (60212122)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | Hippoシグナル / YAP / 肝臓 / 品質管理 |
研究実績の概要 |
本研究では、マウス肝臓における正常細胞―異常細胞間の競合機構の解析を行い、免疫系とは異なる新たな細胞レベルの品質管理機構の解明を目的とした。申請者はこれまでに、変異遺伝子をマウス肝臓にモザイク状に導入する実験法により、Hippoシグナル伝達経路が破綻した異常肝細胞と正常肝細胞との間の競合モデルの確立に成功している。平成27年度は、in vitroの哺乳動物細胞競合実験系を用いて、Hippo-YAPシグナル伝達経路の役割解明を行った。1)活性型YAP発現細胞は、親株細胞との混合培養依存的に、apical面へ突出誘導されること、2)この突出誘導にはTEADを介した転写活性やPI3K-mTOR-S6K経路が重要であること、3)周辺細胞におけるfilaminの発現が必須であること、4)活性型YAP発現細胞は、Ras(G12V)やv-Src発現細胞を周辺細胞とした場合には突出しないことを見出した。すなわち、活性型YAP発現細胞は親株細胞に対しては敗者、Ras(G12V)やv-Src発現細胞に対しては勝者の表現型を示すことが明らかとなった。以上の結果は、活性型YAP発現細胞では、周辺細胞の細胞状態に応じて勝敗が決定されることを明らかにした(論文投稿中)。また、マウス肝臓を用いたin vivo実験から見出された競合モデルの分子機構の解明も進んだ(論文準備中)。以上の結果は、本研究目的である正常細胞―異常細胞間の競合機構の解明に貢献すると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、上記の研究成果は、英文原著論文に投稿中であるため。
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今後の研究の推進方策 |
平成26~27年度の研究成果を原著論文にまとめること。また、マウス肝臓を用いた研究成果も論文にまとめ、3年間の総括をすること。
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