研究課題
生体時計Biological Clockは、地球の自転にともなう昼夜の規則正しい変動に基づき形成された、生命にとって最も根源的な「時間」の仕組みである。本研究では、生体リズムの異常によって生じる不眠症や生活習慣病の根本的な是正をめざし、中枢時計を標的とした中枢リズム調整薬の開発に取り組んでいる。当研究課題に対し、研究代表者はごく最近、生体リズムの最高位中枢として機能する視交叉上核ニューロンにおいてリズム調節能を有するオーファンGPCRを同定することに成功した(土居ら, 未発表)。GPCRは薬理学上最も重要でかつ効率のよいターゲットとして知られる分子群であり、そのリガンドを同定することは、これまで誰も知らなかった新たな生理機能の発見やその制御機構の解明につながる重要な研究である。オーファンGPCRのリガンド探索には未だ定法がなく、既存の方法論を用いて多くの研究者が精力的に探索を行ったにもかかわらず、いまだに非常に多くの受容体がリガンド不明(オーファン)のまま残されている。このような中、我々は初年度の研究計画を実施した結果、目的の受容体がリガンド非依存性の基礎活性を有するオーファンGPCRであることを明らかにした。興味深いことに、その活性は特定の細胞系においてのみ観察される。したがって、この細胞系を用いてリガンドアッセイ法を至適化することにより、リガンドスクリーニングを実施することができると考えられる。
2: おおむね順調に進展している
オーファンGPCRのリガンドを同定するためには、受容体機能をとらえるための簡便なアッセイ系を樹立することが非常に重要である。このような中、我々は独自の工夫によって目的のオーファン受容体がリガンド非依存性の基礎活性を有することを明らかにすることができた。本系を利用すれば効率の良い安定なリガンド探索系を樹立することが可能であり、本研究の最終目標へ向けて非常に大きな一歩を踏み出すことができたと考えられる。
現在得られつつあるリガンドアッセイ系を更に至適化し、目的のオーファン受容体に対するリガンドの検索を実施する。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 6件、 謝辞記載あり 6件) 学会発表 (16件) (うち招待講演 6件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)
Mol. Cell. Endocrinol.
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1016/j.mce.2014.10.008
J. Steroid Biochem. Mol. Biol.
巻: 144 ページ: 268-279
10.1016/j.jsbmb.2014.07.010
Mol. Cell. Biol
巻: 34 ページ: 3880-3894
10.1128/MCB.00852-14
J. Clin. Endocrinol. Metab.
巻: 99 ページ: E257–E262
10.1210/jc.2013-3279
Hypertension Res.
巻: 37 ページ: 202-209
10.1038/hr.2013.143
巻: 382 ページ: 131-138
10.1016/j.mce.2013.09.014
医学のあゆみ
巻: 249 ページ: 373
最新医学
巻: 11月 ページ: 133-144
循環Plus
巻: 14 ページ: 10-12
http://www.pharm.kyoto-u.ac.jp/system-biology/doimasao/