研究課題
Robo4のノックアウトが血管内皮細胞の炎症を抑制するメカニズムを明らかにするために、Robo4ノックダウンにより発現変動する遺伝子の解析を行った。まず、HUVECにControl もしくはRobo4 siRNA を導入しRNAを抽出後、マイクロアレイによる解析を行った。その結果、Robo4のノックダウンは、IκB 結合分子や複数のVEGFレセプター関連因子の発現を抑制することが明らかになった。これらの結果から、Robo4は血管内皮細胞においてVEGFシグナル伝達系、特にNF-κB経路に寄与する可能性が示された。また、Robo4下流のシグナル伝達系をさらに詳細に解析するために、Robo4細胞内ドメイン結合因子の解析を行った。アデノウイルスベクターを用いてFlagタグ融合Robo4、もしくはコントロールタンパク質(GFP)を強制発現したHUVECから抽出液を調製し、Flag抗体を用いて免疫沈降を行った。各サンプルに含まれるタンパク質をマススペクトルを用いたショットガン解析により同定、比較しRobo4結合分子の同定を行った。その結果、未だ機能の詳細が不明な炎症シグナル伝達因子ファミリーの分子、細胞遊走や接着に寄与する細胞骨格結合因子、エンドサイトーシス関連因子など、複数の結合因子の同定に成功した。また、これらのうち炎症シグナル伝達因子は、Robo4の細胞内ドメインのうち、これまで機能が報告されていないC末端領域に結合することも明らかになった。以上の結果から、Robo4の炎症応答や細胞遊走における多彩な機能が発揮されるメカニズムの一端が明らかになった。
1: 当初の計画以上に進展している
マススペクトルを用いた解析の条件を予定より短期間で最適化でき、相互作用因子の同定を早期に達成することができたため。
同定したRobo4結合因子とRobo4の機能の関連について解析を進める。また、血管内皮細胞と免疫細胞とのクロストークについても共培養系を用いた解析を進めていく。
当初の予定より研究が順調に進捗したため、予算執行額が少なく抑えることができた。
残額を次年度研究費に上乗せし、研究スピードを更に向上させるために有効活用する。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
Arterioscler Thromb Vasc Biol
巻: 34(7) ページ: 1531-1538
10.1161/ATVBAHA.114.303818
Yakugaku Zasshi
巻: 134(7) ページ: 817-821
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http://www.phs.osaka-u.ac.jp/homepage/b018/