研究課題
敗血症は微生物感染等が原因となる全身性炎症反応症候群であり、現在効果的な治療法はなく、その発症メカニズム解明と新規治療法開発が急務となっている。我々は、血管内皮細胞特異的に発現する受容体Robo4を標的とする敗血症治療の可能性について検討を進めている。本年度は、まずRobo4 siRNAが敗血症病態に与える影響を評価した。Robo4発現をin vitroで90%抑制するsiRobo4を敗血症およびコントロールマウスに投与後、各臓器におけるRobo4発現量およびマウス生存時間の解析を行った。その結果、siRobo4はマウス肺のRobo4発現を50%抑制し、敗血症マウスの生存時間を延長させた。またこの時、一部の炎症性サイトカインの血中濃度の抑制がみられた。本結果から、siRobo4が敗血症病態を緩和させることが示唆された。次に、我々がこれまでに見出したRobo4発現抑制活性をもつ低分子化合物ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤Trichostatin A(TSA)が、Robo4発現を抑制するメカニズムを解析した。レポーターアッセイ、ゲルシフトアッセイを用いた解析から、TSAの応答配列がRobo4近位プロモーターに存在すること、またTSAはこの領域に結合する転写活性化因子SP1、GABPの結合に影響を与えないことを見出した。また、Robo4発現抑制に寄与するヒストン脱アセチル化酵素のサブタイプ2種類を同定することに成功した。最後に、TSAとRobo4プロモーターレポーター配列を安定導入した細胞株を用いたRobo4 発現制御化合物のスクリーニング系の構築に成功した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)
Biological and Pharmaceutical Bulletin
巻: 40(4) ページ: 504-509
10.1248/bpb.b16-00938
Sci Rep.
巻: 6 ページ: 36946
10.1038/srep36946
Pharmacol Res Perspect.
巻: 4(5) ページ: e00266
10.1002/prp2.266
Biochem Biophys Res Commun.
巻: 477(1) ページ: 91-95
10.1016/j.bbrc.2016.06.025
PLoS One
巻: 11(10) ページ: e0165766
10.1371/journal.pone.0165766
http://www.phs.osaka-u.ac.jp/homepage/b018/