研究課題/領域番号 |
26293017
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研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
岩田 誠 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (50160122)
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研究分担者 |
宋 時栄 徳島文理大学, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (00399693)
門脇 則光 香川大学, 医学部, 教授 (60324620)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | アレルギー / 炎症 / レチノイン酸 / IL-13 / ヘルパーT細胞 |
研究実績の概要 |
種々のアレルギー炎症性疾患において、IL-13とTNF-αは重要な役割を果たしている。我々は、ビタミンA欠乏マウスでは腸間膜リンパ節の樹状細胞が、IL-13とTNF-αを選択的に高産生する新規炎症性ヘルパーT細胞2型(Th2)を分化誘導し、IL-13依存性に経口抗原に対する強いIgG1、IgE抗体産生を誘導することを発見した。この新規Th細胞は、正常のナイーブCD4+ T細胞をIL-6の存在下、CD3/CD28に対する抗体で活性化しても一定の割合で分化誘導され、このTh細胞が幅広いアレルギー炎症にも関与する可能性が考えられた。本研究では、このTh細胞分化誘導の分子機序とその制御におけるレチノイン酸の役割を明らかにすることで、アレルギー炎症性疾患に対する治療と創薬に向けた新たな基盤を構築することを目指す。これまでに、レチノイン酸欠乏下でこのTh細胞を誘導する主な樹状細胞サブセットとして、CD103-CD11b+ 腸間膜樹状細胞を同定し、そのIL-6産生能を確認した。また、IL-6が分化誘導に関わるとされる既知のTh(Th17, Th22, follicular Th (Tfh))とは、このThが異なる性質を有することを確認した。この新規Th細胞を誘導するIL-6の作用を促進するサイトカインを探索し、その候補を絞り込んだ。また、DNAマイクロアレイを利用して、このTh細胞誘導に必要な遺伝子を探索し、複数の候補遺伝子を見出し、その寄与の可能性を検定し、絞り込みつつある。そして、これらの結果に基づき、ヒトにおける同様なTh細胞誘導とアレルギー炎症への寄与の可能性について準備を進めつつある。 〔連携研究者〕徳島文理大学香川薬学部 准教授 大岡嘉治、同准教授 竹内一、同助教 中妻彩
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の実験に重要な役割を担う連携研究者・中妻助教がH27年度半ばより産児・育児休暇に入ったために、基礎実験の進展がやや遅れた。H26年度は概ね順調であったものの、採用を予定していた研究補助員(アルバイト)候補一名が採用できなくなり、実験の一部に若干の遅れが生じ、そのため、ヒトにおける解析の開始に影響が出ていた。H27年度にはその遅れがやや拡大した。
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今後の研究の推進方策 |
H28年度は、産児・育児休暇中の助教の業務の一部を代替する研究補助員を大学が雇用することになった。この研究補助員には免疫学実験の経験は無かったが、必要な実験技術を急ぎ習得させ、本研究の遂行を補助させる。さらに、連携研究者の本課題への集中度と研究分担者間の交流をさらに上げることに努め、研究の進展を加速させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
主要な実験を担う予定だった連携研究者の一人が産児・育児休暇に入り、さらにその一部業務を代替する研究補助員の採用もH27年度中にはできなかったため、特に試薬等の物品の購入量が低下し、主に物品費の一部が繰り越しとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
H26年度の物品費は予定枠を少しオーバーしており、H27年度にもその傾向が増大すると思われたが、上記理由で逆に半減した。H28年度には、新人の研究補助員の参加に加え、育児休暇中の助教も秋には復帰する予定であり、H27年度にやや遅れた研究の進展を取り返すべく、特に物品費の支出額が著しく増大すると予想される。今回の繰り越し分はその補充に必要となると考えられ、これに当てる予定である。
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