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2016 年度 実績報告書

プロテアソーム核内スペックルの形成機構と生理的意義

研究課題

研究課題/領域番号 26293018
研究機関公益財団法人東京都医学総合研究所

研究代表者

佐伯 泰  公益財団法人東京都医学総合研究所, 生体分子先端研究分野, 副参事研究員 (80462779)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワードプロテアソーム / ユビキチン / タンパク質分解 / 核内構造体 / ストレス応答
研究実績の概要

平成28年度は以下の知見を得ることに成功した。
1.プロテアソームスペックルの動態および形状の解析:STED超解像顕微鏡を用いてプロテアソームスペックルの微細構造を解析したところ、ユビキチンおよびプロテアソームはいずれも繊維状の構造をとることが明らかとなった。次いでFRAPによりスペックル内のユビキチンおよびプロテアソーム動態を解析したところ、ユビキチンは拡散が遅いが、プロテアソームは比較的動的であることがわかった。さらに、プロテアソームサブユニットGFPノックイン細胞を用いて、プロテアソームスペックルを電子顕微鏡により観察したところ(CLEM法)、プロテアソームスペックルはユビキチン化された核内凝集体上に形成することを見出した。スペックル形成は浸透圧刺激依存的であり、プロテアソーム阻害剤やVCP阻害剤によりそのクリアランスは遅延する。また、PML非依存であることを併せて考察すると、本構造体は核内タンパク質分解の場となる新しい核内構造体であることが示唆された。
2.プロテアソームスペックル形成機構:ユビキチン化基質運搬分子RAD23とプロテアソーム結合型ユビキチンリガーゼUBE3Aのノックアウト細胞を解析したところ、これらの分子はプロテアソームスペックル形成と維持にそれぞれ必要であることが明らかとなった。
これらの結果より、プロテアソームスペックル形成機構は以下のように想定される。(1)核内のタンパク質分解は高浸透圧による細胞容量減少に対して脆弱であり、核内のユビキチン化基質が凝集する。(2)RAD23依存的にプロテアソームが凝集体に集積する。(3)UBE3Aが凝集体をさらにユビキチン化する。(4)凝集体をプロテアソームが分解することでスペックルが消失する。
最終年度は本仮説を更に検証する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

プロテアソームスペックルは浸透圧ストレスに応答して数秒で形成される可逆的な新規核内構造体である。本年度はプロテアソームスペックルの微細構造と動態を解析することで、本構造体が核内タンパク質分解の場となる新しい核内構造体であることが示唆された。また、アンジェルマン症候群の責任遺伝子としてしられるユビキチンリガーゼUBE3Aがプロテアソームスペックル形成に関与することから、UBE3Aがプロテアソームコファクターとして核内のタンパク質分解に寄与する可能性が高い。このように研究は概ね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

1.プロテアソームスペックル形成機構:ユビキチン化基質運搬分子RAD23とプロテアソーム結合型ユビキチンリガーゼUBE3Aはプロテアソームスペックル形成と維持にそれぞれ必要である。H29年度はRAD23およびUBE3Aの機能ドメインを明らかにするため、各ノックアウト細胞にadd-backし、ユビキチン陽性凝集体へのプロテアソームのリクルート機構、凝集タンパク質のユビキチン化増強について解析する。
2.プロテアソームスペックル形成の生理的意義:プロテアソームスペックルに局在化する内在性基質をモデル基質としてその凝集性とプロテアソーム依存的分解を解析する。脂肪性アルコール(凝集性タンパク質の分散作用)、プロテアソーム阻害剤(凝集体肥大)、VCP阻害剤(脱凝集阻害)添加時のプロテアソームスペックル構造および動態をCLEM法およびタイムラプスイメージングにより解析する。

次年度使用額が生じた理由

合成オリゴDNAの納品が遅れたため。

次年度使用額の使用計画

合成オリゴDNAを用いた変異導入実験を予定通り実施する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Ubiquitin recognition by the proteasome.2017

    • 著者名/発表者名
      Saeki, Y.
    • 雑誌名

      J. Biochem.

      巻: 161 ページ: 113-124

    • DOI

      10.1093/jb/mvw091

    • 査読あり
  • [雑誌論文] In Vivo Ubiquitin Linkage-type Analysis Reveals that the Cdc48-Rad23/Dsk2 Axis Contributes to K48-linked Chain Specificity of the Proteasome.2017

    • 著者名/発表者名
      Tsuchiya, H., Ohtake, F., Arai, N., Kaiho, A., Yasuda, S., Tanaka, K., and Saeki, Y.
    • 雑誌名

      Mol Cell

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 分子標的薬「プロテアソーム阻害剤」2016

    • 著者名/発表者名
      佐伯 泰
    • 雑誌名

      腎臓内科・泌尿器科

      巻: 4 ページ: 30-38

  • [学会発表] Cdc48/p97-Rad23軸がプロテアソーム分解の主要経路である2016

    • 著者名/発表者名
      佐伯 泰
    • 学会等名
      第39回日本分子生物学会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
    • 年月日
      2016-12-01 – 2016-12-01
    • 招待講演
  • [備考] 公益財団法人東京都医学総合研究所蛋白質代謝研究室ホームページ

    • URL

      http://www.igakuken.or.jp/pro-meta/

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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