研究課題
H-Ras-GTPのState 1-2間の構造遷移を、ターゲット(目標構造)を設定するPaCS-MD法を用いて解析するとともに、MDシミュレーションにより得られた結果を用いて、構造変形に伴うH-Ras周囲の水分子を含む水素結合ネットワークに対するエントロピーの動的変化の解析も行った。出発構造・ゴール構造であるState 1、State 2に加え、中間構造(実験値:結晶構造)を加えることにより、State 1からState 2への遷移が初めて可能となったが、逆方向への遷移については確認することができなかった。また、昨年度までに明らかにしたHAG法による結晶中でのState 2からState 1への構造遷移メカニズムの解析結果について、研究成果としてSci. Rep.誌に発表した。HAG法以外の結晶中での構造遷移を誘発する手法としてpH変化法を確立した。この手法では、H-Ras分子内に存在するMgイオンと結晶中に存在するCaイオンの濃度変化により構造遷移が促進あるいは阻害されることが明らかになった。さらに、グルタルアルデヒドを用いた結晶の架橋により、構造遷移時に生じやすい結晶性の悪化が若干抑えられることが判明した。この結晶を用いて、低分子化合物の浸漬実験を行った結果、一部の化合物については結合が確認されたが、架橋によって薬剤結合ポケットの一部が塞がれている様子も観察された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Cancer Discov.
巻: 6 ページ: 1148-1165
10.1158/2159-8290.CD-15-1481
Sci Rep.
巻: - ページ: -
10.1038/srep25931