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2014 年度 実績報告書

カチオン性薬物の体内動態における新規トランスポーター群の重要性の解明

研究課題

研究課題/領域番号 26293032
研究機関東京大学

研究代表者

楠原 洋之  東京大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (00302612)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード体内動態 / トランスポーター / カチオン性薬物
研究実績の概要

アフリカツメガエル卵母細胞を用いた過剰発現システムにおいて、マウスSlc16a9が薬物の輸送活性を有していることを確認した。Slc16a9ノックアウトマウス(Slc16a9KO)を用いたin vivo試験を行った。マウスSlc16a9 mRNAの組織分布をリアルタイムPCRで検討した結果、腎臓に最も高い発現が認められた。Slc16a9KO腎臓では、Slc16a9 mRNAの発現低下が認められた。Western blotを行った結果、強制発現系におけるマウスSlc16a9蛋白は検出できたものの、腎臓や他臓器の膜画分では検出できず、引き続き検討を必要とする。FITC-inulinはSlc16a9KOで同等の血漿中濃度の時間推移を示し、GFRには変動は認められないものの、複数の薬物の体内動態を評価した結果、amantadineについて、血漿中濃度の変動ならびに尿中排泄速度の変動が認められた。組織-血漿濃度比については、脳ならびに腎臓において野生型マウスと同程度であったが、血漿中濃度の時間推移の変動は分布容積の変動が要因と考えられることから、他の組織での薬物量を測定する必要がある。血漿中濃度のゲノムワイド関連解析でSLC16A9ジェノタイプと関連していることが示唆されていたカルニチンについて、血漿ならびに組織分布において野生型マウスと同程度であったが、尿中排泄が低下する傾向が認められた。野生型マウスならびにSlc16a9KOの血漿ならびに尿のメタボローム解析を実施し、現在測定結果を解析中である。
YM-155トランスポーターとして単離されたSlc35f2ノックアウトマウスを、CRISPR-Cas9システムにより作製した。ホモ型のマウスを複数得ることができたことから、交配を進め、体内動態試験を実施する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Slc16a9ノックアウトマウスについて、十分な個体数を得るとともに、体内動態試験の結果、野生型マウスに対して体内動態が変動する薬物を見出すことができた。
本研究では、YM-155に対する未同定のトランスポーターを得ることを目的としていたが、Slc35f2であることが他のグループにより明らかにされた。本トランスポーターは腎臓ならびに脳(血液脳関門を含む)に発現が認められる事から、がん由来細胞以外に、正常組織における薬物輸送において重要なトランスポーターであることが考えられる。CRISPR-Cas9システムを用いて、ノックアウトマウスを作出し、in vivo動態試験を実施するための準備を進めた。

今後の研究の推進方策

Slc16a9KOマウスにおいて引き続き、薬物の探索をすすめるとともに、amantadineについて、体内動態の変動要因を解析する。また、新たに薬物トランスポーターとして、同定されたSlc35f2に関して、in vitroならびにin vivo試験を実施し、薬物動態における重要性を明らかにする。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 5件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Involvement of Organic Cation Transporters in the Clearance and Milk Secretion of Thiamine in Mice.2015

    • 著者名/発表者名
      Kato K, Moriyama C, Ito N, Zhang X, Hachiuma K, Hagima N, Iwata K, Yamaguchi JI, Maeda K, Ito K, Suzuki H, Sugiyama Y, Kusuhara H.
    • 雑誌名

      Pharm Res

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Endogenous Probes for Evaluation of Drug- Drug Interactions Involving Renal Transporter2015

    • 著者名/発表者名
      楠原洋之
    • 学会等名
      Experimental Biology 2015
    • 発表場所
      Boston, USA
    • 年月日
      2015-03-28 – 2015-04-01
    • 招待講演
  • [学会発表] メタボロームによる薬物動態バイオマーカーの探索と薬物間相互作用の定量的解析への適用2015

    • 著者名/発表者名
      楠原洋之
    • 学会等名
      第5回 杉山特別研究室(理研)公開シンポジウム
    • 発表場所
      神奈川県横浜市
    • 年月日
      2015-02-09 – 2015-02-10
    • 招待講演
  • [学会発表] 前臨床試験に基づいた脳受容体占有率時間推移の予測2014

    • 著者名/発表者名
      楠原洋之
    • 学会等名
      第4回 杉山特別研究室(理研)公開シンポジウム
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2014-09-25
    • 招待講演
  • [学会発表] 薬物トランスポーターの種差と遺伝子多型による医薬品体内動態の個人間変動2014

    • 著者名/発表者名
      楠原洋之
    • 学会等名
      第54回 日本先天異常学会学術集会
    • 発表場所
      神奈川県相模原市
    • 年月日
      2014-07-26 – 2014-07-27
    • 招待講演
  • [学会発表] Impact of drug transporters on the interindividual difference in the pharmacokinetics/ pharmacodynamics of drugs; implication for predicting exposure of chemicals, and its effect2014

    • 著者名/発表者名
      楠原洋之
    • 学会等名
      2014 ICCA-LRI & JRC Workshop
    • 発表場所
      Lugano, Switzerland
    • 年月日
      2014-06-18 – 2014-06-19
    • 招待講演
  • [学会発表] チアミンの組織移行および尿排泄における有機カチオントランスポーターOCT1、OCT2およびMATEの関与2014

    • 著者名/発表者名
      楠原洋之、加藤幸司、 山口順一、伊藤直樹、鈴木洋史、杉山雄一
    • 学会等名
      肝病態生理研究会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2014-05-31
  • [学会発表] チアミンの体内動態におけるOCT1/2 および MATE の役割2014

    • 著者名/発表者名
      加藤幸司、森山知洋、伊藤直樹、八馬賢次、萩間奈緒子、岩田勝也、山口順一、鈴木洋史、杉山雄一、楠原 洋之
    • 学会等名
      日本薬剤学会 第29年会
    • 発表場所
      埼玉県大宮市
    • 年月日
      2014-05-20 – 2014-05-22
  • [学会発表] トリメトプリムによる腎尿細管分泌における薬物間相互作用の解析2014

    • 著者名/発表者名
      楠原洋之、鬼頭朋子、伊藤澄人
    • 学会等名
      日本薬剤学会 第29年会
    • 発表場所
      埼玉県大宮市
    • 年月日
      2014-05-20 – 2014-05-22
  • [図書] 生物薬剤学 6章1 薬物動態に基づく薬物相互作用2015

    • 著者名/発表者名
      楠原洋之
    • 総ページ数
      15 (全体 311)
    • 出版者
      南江堂

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公開日: 2016-06-01  

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