研究課題
血液脳関門に発現するトランスポーターであるSLC35F2の機能解析を行った。マウス・ヒトSLC35F2の過剰発現細胞を構築した他、SLC35F2をKOしたP3細胞を用いて基質探索を行った。15化合物の輸送活性を比較した結果、新たにfamotidineなどの基質を同定した。YM155に比較するとその輸送能力は低く、SLC35F2の基質選択性は狭く、特定の化合物の輸送に関わっていることが考えられる。YM155を基質として用いた解析の結果、SLC35F2による輸送は単純拡散によるものであることが示唆された。マウス脳毛細血管内皮細胞にSlc35f2の発現が認められ、かつヒト脳毛細血管内皮細胞輸送の不死化細胞において、SLC35F2によるYM155の細胞内取り込みを確認した。一方で、YM155の脳-血漿濃度比は野生型マウスでは比較的大きな個体間変動を示すものの、Slc35f2KOマウスでは個体間変動は小さい。例数の不足で、統計的な有意差を示すには至らなかった。一方で、YM155の腎クリアランスはKOマウスで増大が認められた。GFRの指標となるクレアチニンの腎クリアランスは変動が認められなかったことから、Slc35f2は尿中からの再吸収に関与していることが示唆された。LC-MS/MSを用いたメタボロミクス解析を実施した結果、複数の化合物の尿中排泄量が増大していることが示唆されたことからも、本仮説は支持される。一部の化合物については、同位体を合成し、細胞内取り込みを測定した。SLC35F2KO細胞では著しい取り込みの低下が認められたことから、内在性基質となることが示唆された。SLC35F2の生理機能を理解する手がかりとなるものと期待される。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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