研究課題
薬剤性の肺線維症は抗がん剤など多様な薬物によって引き起こされるが、その機構解析は遅れている。近年、線維化の原因として肺胞上皮Ⅱ型細胞の筋線維芽細胞への転換(上皮間葉転換(EMT))が注目されている。本研究では、肺胞上皮細胞を用い、薬物によるEMT誘発の分子機構の解明とそれを検出するためのバイオマーカーを明らかにすることを第一の目的とする。次に、予防法の開発に向け、EMTを抑制しうる化合物を探索・同定することを第二の目的とする。平成29年度の成果は以下の通りである。1)ヒト由来A549細胞をメトトレキサート(MTX)で処置し、その培養上清を透析してMTXを除去したConditioned Medium (CM-MTX)は、A549細胞にEMT様の変化を誘発する。しかし、細胞をMTXで処置する際に葉酸を併用したところ、CMによるEMT誘発は観察されなかった。さらに、CM-MTXによるEMT誘発効果も葉酸により抑制された。従って、葉酸はMTX誘発性肺障害の防御に有用である可能性が示唆された。2)前年度、ラット由来肺胞上皮細胞において、miR-34aの上昇がEMT誘発に関与する可能性を明らかにした。今年度はさらにヒト由来細胞において、ブレオマイシン(BLM)およびMTX処置によって共通してmiR-484が50%以下に減少することを見出した。miR-484のバイオマーカーとしての可能性やEMTとの関連性について、現在さらに検討を進めている。3)TGF-β1、BLMによるEMT誘発に対するケルセチンの防御効果についてさらに解析を進め、ケルセチンはリン酸化Smad2の上昇を抑制すること、またEMT抑制効果との関係は現在のところ明確でないが、TGF-β1、BLMによるROS産生も抑制することを見出した。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件) 学会発表 (21件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
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