研究課題/領域番号 |
26293034
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
佐々木 均 長崎大学, 病院(医学系), 教授 (00170689)
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研究分担者 |
太田 伸生 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (10143611)
平山 謙二 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (60189868)
濱野 真二郎 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (70294915)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 顧みられない熱帯病 / DNAワクチン / ナノデバイス |
研究実績の概要 |
核酸医薬品を臨床応用するためには、生体適合性に優れた遺伝子ベクターの開発が必須である。我々は、新規カチオン性高分子であるDendrigraft poly-L-lysine (DGL)に着目した。DGLはlysineのみで構築されており、デンドリマー構造を有することから、遺伝子ベクターとしての有用性が期待できる。そこで、DGLを構成成分とする遺伝子ベクターの構築を試みた。 pDNAとしてfirefly luciferaseをコードしたpCMV-Lucを用いた。pDNAとDGLを様々な電荷比で混合し、pDNA-DGL複合体(DGL複合体)を調製した。また、コントロールとしてpDNA-PLL複合体(PLL複合体)を作製した。電荷比と調製プロセスを最適化することで安定なナノサイズの複合体を構築できた。マウスメラノーマ細胞B16-F10を用いて、各複合体の遺伝子導入効率を評価した結果、DGL複合体はPLL複合体と比較して有意に高い遺伝子発現を示した。また、DGLは細胞内で分解していることが観察された。一方でDGL複合体はPLL複合体と同様に細胞毒性および血液毒性を示した。我々はすでにカチオン性複合体をγ-polyglutamic acid (γ-PGA)で被膜することで、高い遺伝子発現効果を維持し、毒性を軽減できることを報告している。そこで、DGL複合体をγ-PGAで被膜した三重複合体(γ-PGA複合体)を構築した。γ-PGA複合体はDGL複合体に匹敵する遺伝子発現を示し、DGL複合体で観察された毒性を改善した。γ-PGA複合体をマウスに静脈内投与した結果、脾臓において高い遺伝子発現が見られた。 以上のように、我々は本年度の研究によって、DGLおよびγ-PGAを用いた生体分解型遺伝子ベクターの開発に成功した。現在、本ベクターを用いたシャーガス病に対するDNAナノワクチンの有用性を評価している。来年度以降は、さらにリーシュマニア症および住血吸虫症のDNAワクチンへも展開していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた平成26年度の研究実施計画をほぼ達成しているため、概ね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度も当初予定していた研究実施計画に従い研究を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
キャンペーン期間に試薬を購入するなどして、研究費を効率的に使用したため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の消耗品費に補填する。
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