研究課題/領域番号 |
26293040
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
中村 桂一郎 久留米大学, 医学部, 教授 (20172398)
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研究分担者 |
太田 啓介 久留米大学, 医学部, 准教授 (00258401)
林 篤正 久留米大学, 医学部, 講師 (20341357)
金澤 知之進 久留米大学, 医学部, 講師 (50529518)
東 龍平 久留米大学, 医学部, その他 (70569516)
都合 亜記暢 久留米大学, 医学部, その他 (80569517) [辞退]
力丸 由起子 (西由起子) 久留米大学, 医学部, 助教 (90368960)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 線維芽細胞 / 間質組織 / 平滑筋 / 間葉細胞 / 新機軸電子顕微鏡 / FIB/SEM tomography / ブロック表面SEM観察(BFI) / 三次元微細構造 |
研究実績の概要 |
前年度に引き続き、全身の間葉組織・結合組織の枠組みを構成する間質細胞群(stromal cells; 線維芽細胞および線維芽細胞様細胞等)の個々の細胞の三次元微細構造と組織構築の解析を目的に、次世代新機軸走査型電子顕微鏡FIB/SEM(Quanta 3D FEG, FEI)をもちいた三次元微細構造解析を進めている。FIB/SEM観察に先立ち、H26年度本科研費で購入したキーエンス一体型蛍光顕微鏡により電顕観察対象組織・細胞の全体像の把握と同定を行い、光顕画像と電顕画像の橋渡しを行っている。H27年度は、骨・腱、骨膜、歯根膜等の硬組織、腎臓、尿管、膀胱、精嚢等の泌尿生殖器系の平滑筋層をもつ壁構造について、エポン樹脂に包埋された固定試料のFIB/SEM連続微細構造観察法(FIB/SEM tomography)による解析により、これらの細胞がうねりながら広く拡がる水かき様の薄膜シート状構造をもつことが観察され、また、隣接する細胞は各所で機械的に連結され、ネットワークを形成していること、または、蜂の巣様のコンパートメントを形成することが示唆された。分担者らは、泌尿器・生殖器系臓器、腱・骨・骨格筋、皮膚真皮、歯根膜、歯髄、髄膜、神経系組織、その他の臓器・器官の結合組織の間質細胞が類似の形状と隣接細胞間の機械的連結によるネットワークの解析を続けている。全体として、各臓器・器官により高度な機能的分化が見られるものの、これまでの単一切片の観察から想像されていた形態とは異なる、間質細胞に共通の形態的特徴が捉えられる可能性が示されつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に引き続き、間質細胞に注目して、FIB/SEMにより得られた連続超微形態画像について画像解析ソフトAmira/Avizoにより三次元微細構造再構築(FIB/SEM tomography)を行い、形態解析を進めている。 医学生物学研究に新たに導入された本手法により得られる顕微画像はこれまでのものに比して圧倒的に大きいデータセットである。Large-scale dataとして注目される(日本生理学会解剖連携シンポジウム2016年3月シンポジスト)このようなビッグデータを扱う画像解析では、予想以上の時間と労力が必要となる。この要件の解決策の一端として、我々のグループでは光-電子相関顕微法(correlative light & electron microscopy; CLEM)に注目して研究を進めており、組織中の線維芽細胞の位置をあらかじめ特定する方法も検討中である。 それと並行して、研究分担者により、骨・腱、軟骨、歯根膜などの硬組織、腎臓、尿管、膀胱などの泌尿器系臓器また心臓のペースメーカー細胞群、角膜・強膜などの結合組織細胞の解析が進行しており、後述の通り、成果は学会・シンポジウム等で発表され、一部は既に原著論文として出版されている。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き、画像ビッグデータ処理の手法の開発・導入を計る。同時に、研究分担者により、様々な臓器・器官の結合組織にみられる間質細胞/線維芽細胞を逐一再構築し、それらの共通の形態的特徴に迫る。
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次年度使用額が生じた理由 |
FIB/SEMが医学生物学研究に応用された前例が少ないため、FIB/SEM稼働のための消耗品の交換頻度の予測が難しく、H26年度に予定していたFIB/SEM消耗品交換が27年度にずれ込み、また、同様にH27年度に予定した消耗品交換がH28年度に延期となった。
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次年度使用額の使用計画 |
基金分のH28年度に繰り越した経費は、6月初旬にFIB/SEMの消耗品購入・交換に充当する予定である。
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