研究課題
Prrt3は、リガンド未知の Family Cに属するGタンパク質結合型受容体である。その生理機能の解明を目指して以下の研究を行った。1.本研究では、Prrt3の主たる発現部位である大脳興奮性神経細胞特異的にPrrt3遺伝子を破壊(KO)したマウスの網羅的行動解析を目的の一つとした。生存率が低かったため時間を要したが、今年度、ようやく充分数のKOホモマウスを確保することができた。まず免疫組織学的解析により、大脳興奮性神経細胞におけるPrrt3タンパク質の発現が失われていることを確認した。網羅的行動解析の結果、恐怖記憶の長期保持に異常が見られることが明らかになった。なお、先に(完全KOホモマウスは致死率が極めて高かったため)完全KOヘテロマウスで行った行動解析では、空間学習記憶の長期保持にも異常が見られた。今回の大脳興奮性神経細胞特異的KOホモマウスでは、KOホモであるためより重篤な症状を予想していたが、予想に反して有意な低下が見られなかった。この結果は、黒質等大脳以外の発現、もしくは抑制性神経細胞における発現が機能的意義を有する可能性を示唆する。2.リガンド同定に向けて、ツメガエル卵母細胞の系で、Gi/oによって活性化されるGIRKチャネルをエフェクターとして用いた1000分子以上の小分子ライブラリーのスクリーニングを継続して実施した。昨年度見出したOxo-M よりも強くPrrt3を活性化する分子は見出されなかった。Oxo-Mと強く関連する生体物質 ACh は効果を示さないことから、生体内における生理的リガンドは依然不明である。3.上記2.のスクリーニング実験の副産物として、回虫駆除薬としてよく知られているIvermectin が、Prrt3の共発現の有無に関わらずGIRKチャネルを直接活性化することを新たに見出し、さらにその結合の構造基盤を同定した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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European Journal of Pharmacology
巻: 788 ページ: 122-131
10.1016/j.ejphar.2016.06.025.