研究実績の概要 |
CCR4-NOT複合体のデアデニレース作用は、その構成因子CNOT6, CNOT6L, CNOT7, CNOT8のエキソヌクレアーゼ活性によりmRNAの3’末端からpoly(A)が短縮される脱アデニル化反応であるが、これらのデアデニレース因子によりどのmRNAが標的にされているか、標的による代謝動態に違いがあるのか、どのようなシグナルを受けてCCR4-NOTデアデニレース作用が変容するのかを明らかにする目的で、平成26年度は下記の検討を行った。 1)bulk poly(A)の長さの測定:poly(A)鎖長ごとの分画あるいは直接的なpoly(A)シーケンスの解析のため、total RNAの3’末端をdATP,[alpha-32P]でラベルし、非poly(A)配列を分解した後に電気泳動で展開したところ、CCR4-NOT欠損によりbulk poly(A)が伸長することを確認でき、poly(A)鎖長ごとのRNA分画の準備を整えることができた。 2)RNA免疫沈降シーケンスの検討: CNOT3抗体を用いたRNA免疫沈降を行い、CNOT3欠損マウスの心臓組織の発現解析との相関を調べた。その結果、CNOT3欠損によりmRNAが安定化し発現レベルが上昇する遺伝子とCNOT3抗体で沈降される遺伝子に明らかな相関は見られなかった。デアデニレースによるpoly(A)の短縮がmRNA不安定化、分解と必ずしも同義ではないことが考えられた。また、CCR4-NOTとRNAの直接的な結合を検討するために、共同研究ベースでPAR-CLIPの予備検討を開始した。 3)CCR4-NOT各サブユニット遺伝子の欠損マウスの発現解析:出生後マウス心臓のCCR4-NOT各サブユニットの蛋白発現レベルの解析に基づき、心臓でのCCR4-NOTの発現が最も高い時期にCCR4-NOT各サブユニット欠損マウスの心臓組織を採取し、次世代シーケンスによるトランスクリプトーム解析を行った。現在、各サブユニット欠損による変動遺伝子、標的遺伝子候補の相関、包含などの解析を進めている。
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