研究課題/領域番号 |
26293050
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
久場 敬司 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10451915)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | CCR4-NOT |
研究実績の概要 |
本研究課題達成のために平成27年度は下記の検討を行った。 1)CCR4-NOT複合体によるRNA制御機構の解析:PAR-CLIPの手法により、CNOT1が直接RNAを認識し結合する可能性を検討したが、明らかにCNOT1と直接結合するRNAは認められなかったことから、CNOT1と会合するRNA結合蛋白からのアプローチが重要であると結論づけられた。 2)デアデニレース欠損マウスの心不全病態モデルでの解析:CCR4-NOTのdeadenylaseサブユニット 4個全ての遺伝子欠損マウスについて、心不全モデルで機能解析を行った結果、いずれのdeadenylase欠損マウスにおいても一様にマイルドな心機能低下と心肥大をきたした。つまり、deadenylaseサブユニットがそれぞれに特異的な標的遺伝子、RNA結合タンパクを介してpoly(A)鎖長、遺伝子発現を制御するというよりも、deadenylase欠損による量的な酵素活性の低下により心臓の表現型がもたらされたことが考えられた。さらにRNAseqによる遺伝子発現解析を行ったところ、サブユニット間の標的RNAや機能の類似性などが見出された。 3)新規CCR4-NOT関連因子の遺伝子欠損マウスの作製:CCR4-NOT複合体内のデアデニレース酵素(CNOT6/6L/7/8)以外にも、生理機能が不明なデアデニレース遺伝子について、CRISPR/Cas9ゲノム編集により2系統の遺伝子変異ES細胞を作製した。また、CCR4-NOT関連の蛋白修飾因子についてもconditional遺伝子改変マウスの作製を進めた。 4)核酸代謝センサー分子の機能解析:CNOT3遺伝子欠損マウスにおける核酸代謝の変化を感知するセンサー分子とCNOT3の二重欠損マウスを作製したところ、CNOT3欠損による細胞死を部分的に抑制することが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
心臓におけるCCR4-NOTデアデニレースの作用機構の解明に向けて成果を上げつつある。
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今後の研究の推進方策 |
CCR4-NOT複合体によるRNA制御機構を解明するため、CRISPRによるCnot1のFlagタグ付加を行い、内因性のCnot1蛋白のプルダウンによる結合蛋白の解析を進めており、包括的なRNA認識分子の探索を行う。見出されたRNA認識分子に着目してPAR-CLIPの実験を行うことにより、CCR4-NOTが制御するRNA分子の全容を明らかにする。ポリA鎖の長さと翻訳、分解の相関を調べるため、TAIL-seqによるポリA鎖の長さ測定の実験システムを構築する。また、核酸のセンサー分子の機能解析を相互作用因子の観点から解析を進める。さらに、CCR4-NOTデアデニレース阻害剤の候補物質をスクリーニングするために、in silicoでのデアデニレース因子の活性中心に結合する化合物のスクリーニング、ならびにin vitroでのデアデニレース蛋白を用いたアッセイでのスクリーニングを行う。
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