研究課題/領域番号 |
26293051
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
有竹 浩介 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 准教授 (70390804)
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研究分担者 |
永田 奈々恵 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 研究員 (80390805)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | PGD合成酵素 / 酵素阻害薬 / 筋ジストロフィー / 拡張型心筋症 |
研究実績の概要 |
造血器型PGD合成酵素(HPGDS)阻害薬を筋ジストロフィーモデル(mdx)マウスに4週齢から1か月間投与すると、溶媒投与群に比べて血中CK(筋炎症マーカー)、骨格筋エバンスブルー色素取り込み量、自発運動量が改善されることを証明した。更に、摘出骨格筋の繰り返し電気刺激による筋張力の低下の程度が溶媒投与群に比べて有意に改善されること、更に組織学的評価を行ったところ、集団的な筋壊死が有意に減少することを証明した。 mdxマウスにtriiodothyronin (T3) を投与すると、心臓でHPGDSの発現が投与期間依存的に亢進し、T3投与開始から2週間後には心臓への細胞浸潤、心筋の線維化、左室駆出率(EF)の低下を伴った拡張型心筋症を示すことを証明した。ここにHPGDS阻害薬を投与するとこれらの炎症症状を有意に緩和できることを証明した。 mdxマウスの骨格筋組織造血器型PGD合成酵素のタンパク発現(免疫組織化学)或いはmRNA発現(定量PCR)を調べると、野生型マウスに比べてmdxの骨格筋組織で造血器型PGD合成酵素の発現が亢進すること、その分布を詳しく調べると傷害筋、浸潤マクロファージ、肥満細胞に発現することが判明した。 ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)を用いてジストロフィン遺伝子に特異的に変異を2系統のラット(DA系およびWistar-ST系)に導入し、ジストロフィン遺伝子変異ラットを作製した。いずれも、高クレアチンキナーゼ血症、骨格筋炎症を示すことが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
筋ジストロフィーモデル(mdx)マウスを用いて、造血器型PGD合成酵素阻害薬の病態進行(骨格筋機能低下)抑制作用を薬理学的証明した。 臨床においてDMD患者の主たる死因である心機能障害に及ぼす造血器型PGD合成酵素阻害薬の有効性をmdxマウスを用いて薬理学的に証明した。 mdxマウスの骨格筋組織での造血器型PGD合成酵素の発現分布と変動について調べた。
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今後の研究の推進方策 |
1)筋ジストロフィー壊死筋組織におけるHPGDS発現調節機構の解明 肥満細胞に発現する造血器型PGD合成酵素の発現調節機構およびPGD2産生調節機構について調べる。
2)PGD2情報伝達制御による筋ジストロフィー軽減効果の証明 PGD2情報伝達制御によるDMDに付随する心機能低下の機構について調べる。
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