• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2014 年度 実績報告書

ポストGWAS研究による心房細動の新規創薬標的の同定

研究課題

研究課題/領域番号 26293052
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

古川 哲史  東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (80251552)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード不整脈 / 心房細動 / GWAS
研究実績の概要

①新規疾患発現経路解明を目指した機能解析:4q25領域と10q25領域の2つに関して機能解析を進めた。4q25領域には複数の独立した心房細動関連SNPsがあることが明らかとなった。Pitx2cの発現とは相関するが、ENPEPの発現との相関は見られなかった。4a25領域のヒストンコード解析から、エンハンサーとして作用するSNP領域とbivalentに作用するSNP領域が同定され、Super enhancerとしてPitx2cの発現を制御することが示唆された(論文投稿中)。10q25領域は、ユビキチン-プロテアゾーム系を介してサルコメアタンパク質の分解、ひいてはmyolysis、すなわち心房の構造的リモデリングと関係することが示唆された。
②in vivo機能解析:Pitx2cのKOマウスと10q25関連遺伝子のKOマウスが作成され、解析を進めている。
③遺伝-環境相互作用としてエピゲノム修飾の検討:6遺伝子のプロモーター領域のDNAメチル化のアッセイシステムを構築し、様々な刺激によるDNAメチル化の変化を検討した。思いのほか、高血圧・心不全・糖尿病・脂質異常症によるDNAメチル化の変化は見られず、遺伝-環境相互作用は心房細動の発症には強く関与していないことが判明した。
④心房細動のマイクロRNA標的治療:動物モデルとして、糖尿病・脂質異常症で発現の変化するマイクロRNAを網羅的に探索し、それぞれ複数のマイクロRNAの発現が変化することが明らかとなった。それぞれ1つずつ、標的遺伝子の探索を行い、遺伝子改変マウスモデルを作製した。さらに、1つのマイクロRNAではトランスジェニックマウスを作製し、心房心筋症が惹起される可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予定していた4つの研究項目すべてで、一定の研究の進展がみられた。①新規疾患発現経路解明を目指した機能解析では、4q25領域の解析はほぼ終了し、論文投稿中となっている。10q25領域の解析では、myolysisが起こる経路がほぼ同定された。さらにmyolysisだけでなくオートファジーとも関係する可能性が示唆され、当初の予定にはなかったその解析も進めており、mTORパスウェイが関与することが示唆された。10q25領域では、さらにバイオインフォマティクス解析のMAGENDA解析を全61万SNPsを対象として行い、こちらからもmTORパスウェイが心房細動発症経路の候補として同定された。②in vivo機能解析では、4q25領域と10q25領域のマウスモデルが確立され、機能解析も順調に進んでいる。③遺伝-環境相互作用としてエピゲノム修飾の検討では、解析は予定通り進んだが、遺伝-環境相互作用は心房細動発症には強く関与しない可能性が示唆された。④心房細動のマイクロRNA標的治療では、3つのマウスモデルの解析が進んでいる。さらに、予定していなかったヒトでも循環マイクロRNAと心房細動の発症・進展との関係の検討が行われたが、ヒト心房細動の発症・進展と関係する循環マイクロRNAとして有意差があるものは得られなかった。ただし、傾向があるマイクロRNAは複数同定されたので、さらにサンプル数を増やして解析することを予定している。

今後の研究の推進方策

①新規疾患発現経路解明を目指した機能解析:4q25領域の解析はほぼ終了したので、H27年度は10q25領域の解析を重点的に行う。Myolysisとの関連はほぼ確認されたので、新たに見つかったオートファジーの惹起機序を明らかにする。
②in vivo機能解析:10q25領域のin vitro解析から、既存薬のrepositioningによる心房細動治療の可能性が示唆されたので、10q25領域のKOマウスの解析を主に行う。まずは、様々な心房細動誘発刺激で野生型とKOマウスで心房細動誘発の違いを解析する。
④心房細動のマイクロRNA標的治療:平成26年度に作成したマイクロRNA遺伝子改変マウスの機能解析を進める。2つのマウスモデルでは解析がかなり進んでおり、これらのマウスに関しては論文化する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Integrating genetic, transcriptional, and functional analyses to identify five novel genes for atrial fibrillation2014

    • 著者名/発表者名
      Sinner MF, Tucker N, Lunetta K, Ozaki K, Smith G, Trompet S, Bis J, Lin H, Chung M, Nielsen JB, Lubitz S, Krijthe B, Magnani J, Ye J, Gollob M, Tsunoda T, Müller-Nurasyid M, Lichtner P, Peters A, Dolmatova E, Kubo M, Smith J, Psaty B, Smith N, Jukema JW, Chasman D, Ebana Y, Furukawa T, et al. (他27名)
    • 雑誌名

      Circulation

      巻: 130 ページ: 1225-1235

    • DOI

      10.1161/CIRCULATIONAHA.114.009892

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 網羅的全ゲノム相関解析と心房細動2014

    • 著者名/発表者名
      古川哲史
    • 学会等名
      日本循環器学会第144回東海・第129回北陸合同学会
    • 発表場所
      ウィンクあいち(名古屋)
    • 年月日
      2014-10-25
    • 招待講演
  • [学会発表] High-fat diet increases vulnerability of atrial arrhythmia by conduction disturbance by microRNA2014

    • 著者名/発表者名
      Takahashi K, Sasano T, Sugiyama K, Furukawa T
    • 学会等名
      The 29th Annual Meeting of The Japanese Heart Rhythm Society
    • 発表場所
      品川プリンスホテル(東京)
    • 年月日
      2014-07-22
  • [学会発表] Cardiac arrhythmias in the context of cardiac development2014

    • 著者名/発表者名
      Furukawa T
    • 学会等名
      The 29th Annual Meeting of The Japanese Heart Rhythm Society
    • 発表場所
      品川プリンスホテル(東京)
    • 年月日
      2014-07-22
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2016-06-01  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi