研究課題
前年度までに、マウス成体の心筋細胞が、実験的自己免疫性心筋炎(EAM)病態下でSTAT3を介して増殖することを見出していた。そこで、STAT3を活性化することにより、心筋細胞増殖が促進されるかどうかを検討した。具体的にはEAMを発症させたマウスにIL-11を投与してSTAT3を活性化させ、細胞周期マーカー陽性心筋細胞数を測定した。細胞周期マーカーとしては、Ki-67染色、BrdU取り込み、Aurora B染色を用いた。その結果、Ki-67陽性心筋細胞、Aurora B陽性心筋細胞の頻度が有意に増加した。また、BrdU取り込み心筋細胞の頻度も増加傾向にあった。以上のことから、STAT3を介した心筋細胞増殖系は治療へと応用し得ることが明らかになった。次に、STAT3と他のシグナルとのクロストークに関して検討した。心筋細胞増殖に関してはこれまでYAPが重要な役割を果たしていることが知られている。そこで、活性型YAPのアデノウイルスベクターを作製し、ラット新生児培養心筋細胞に感染させた。その結果、YAPの過剰発現によりBrdUの取り込みは増加したが、その取り込みは、IL-11刺激では活性化されなかった。従って、YAPとSTAT3シグナルのクロストークは否定的であると考えられた。最後にSTAT3が増殖を促進するメカニズムを検討した。具体的には、野生型とSTAT3遺伝子欠損マウスを用いてEAMを作製し、心筋細胞を調整してDNAアレイを行った。その結果、STAT3の遺伝子欠損により、メタロチオネイン、クラスタリンの発現が低下することが明らかになった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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巻: 印刷中 ページ: -
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