研究課題/領域番号 |
26293055
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
馬嶋 正隆 北里大学, 医学部, 教授 (70181641)
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研究分担者 |
藤田 朋恵 獨協医科大学, 医学部, 教授 (20296510)
天野 英樹 北里大学, 医学部, 講師 (60296481)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | thromboxane / リンパ管新生 / LPS / TP受容体 / 横隔膜 / VEGF-C / Tリンパ球 / マクロファージ |
研究実績の概要 |
マウス横隔膜での炎症誘発性リンパ管新生における生理活性脂質の役割を解析した。マウス腹腔内に大腸菌由来のLPSを間歇的に投与すると、横隔膜ホールマウント標本において、投与後2週間でLyve-1陽性のハシゴ状の新生リンパ管が認められた。 COX-2阻害薬のセレコキシブを連日投与(100mg/kg/day)すると、同リンパ管新生が強く抑制された。誘導型PGE合成酵素であるmPGES-1のノックアウトマウスでも有意な横隔膜上のリンパ管新生の抑制が認められ、PGEの関与が明らかにできた。 意外なことに, PGE以外にも、thromboxaneの関与が判明した。すなわち、thromboxaneの受容体であるTPをsystemicに消失しているTP受容体ノックアウトマウスでは、野生型に比べ、有意な横隔膜上のLPS誘導リンパ管新生の抑制が認められた。TPの発現を調べると、LPS投与後1日目頃から横隔膜上で有意な増加が認められ、それはthromboxane合成酵素のTXSの誘導増大を伴っていた。横隔膜上でリンパ管新生誘導因子のVEGFアイソフォームVEGF-CがLPS投与に伴って発現が増加した。その発現は、TP受容体ノックアウトマウスでは、野生型に比べ、有意な抑制が認められた。横隔膜組織でのVEGF-C陽性細胞はCD4陽性のTリンパ球とCD11b陽性のマクロファージであった。野生型のLPS投与マウスの腹腔から採取したTリンパ球とマクロファージを in vitroで安定化thromboxaneアナログで刺激すると、両細胞でVEGF-Cの発現量の増大が認められた。 細胞特異的なTP受容体のノックアウトを行うために、TP floxマウスの作成を始め、ほぼ完成に近い状況である。今後、Creマウスとの交配、phenotype解析のために、一部経費を平成29年度まで使うことにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
意外な生理活性脂質の関与を証明でき、同受容体Floxマウスの作成がほぼ完成しており、今後、細胞特異的なノックアウトの作成、phenotype解析を行う予定である。 極めてインパクトのある報告になると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
thromboxaneの関与を証明でき、TP受容体のFloxマウスの作成がほぼ完成している。 今後、細胞特異的なノックアウトの作成、phenotype解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究に使用するFloxマウスは作出したが、これから交配して実際に使うマウスを得る予定である。 このために、マウスの飼育維持のために予算を保留した。
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次年度使用額の使用計画 |
動物施設は利用者の受益者負担があり、マウス飼育管理ほぼ11ケ月で、全額使用の予定である。
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