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2015 年度 実績報告書

成熟したiPS由来心筋細胞の樹立と創薬・医療への応用

研究課題

研究課題/領域番号 26293056
研究機関国立医薬品食品衛生研究所

研究代表者

諫田 泰成  国立医薬品食品衛生研究所, 薬理部, 室長 (70510387)

研究分担者 大島 英揮  名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (40378188)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードiPS細胞 / 成熟化 / 心筋細胞 / 液性因子 / 多点電極
研究実績の概要

前年度に確立した遺伝子導入により成熟させたヒトiPS細胞由来心筋細胞を用いて、創薬・再生医療応用に向けた検討を行った。
創薬に関しては、前年度までのデータをもとに、成熟化に伴って各種イオンチャネルや薬物受容体などの機能分子の発現に影響があるかどうか調べた。その結果、遺伝子導入によって筋形成に関わる因子の発現が亢進することを確認したが、他のイオンチャネルやアドレナリン受容体などの発現には特に影響が見られなかった。
次に、未成熟あるいは成熟させたヒトiPS細胞由来心筋細胞から高密度培養による2D心筋シートを作成して、多点電極システムにおけるフィールド電位の延長(FPD)を比較検討した。IKr阻害剤E4031により、成熟心筋では用量依存的なFPDの延長が観察された。一方、未成熟心筋で見られたようなE4031による早期脱分極(EAD)は成熟化により認められなかった。従って、我々の手法で電気生理学的に成熟させることにより、医薬品によるQT延長を高濃度域においても検出できることが明らかとなったが、EADの発生は見られなくなったことから、さらなる成熟化プロトコルが必要となる可能性が考えられる。
一方、再生医療に関しては、移植の際に分泌する因子に着目し、シートの生着や機能に影響を与えることが予想されるので、分泌因子の解析を積極的に進めた。特に安定して分泌因子が検出できるような無血清培地の最適化を行った。現在、液性因子の検証を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予定通り、成熟化させた心筋細胞を用いて、遺伝子発現および医薬品の薬理作用による評価を行った。移植については、基材の選定が難しかったことから、移植後の生着の観点から分泌す因子に着目して、引き続き検討を進めることとした。

今後の研究の推進方策

大規模試験の結果を基に、未成熟なiPS心筋では催不整脈評価が難しい医薬品のリストアップをすすめる。未成熟あるいは成熟化させた心筋で検討を行い、成熟化の影響を明らかにする。また、分泌因子の中で、免疫応答に影響を与えそうなものに絞って、さらに検討を進める予定である。

次年度使用額が生じた理由

年度内に納品が間に合わない試薬があったため。

次年度使用額の使用計画

次年度に試薬を受け取り、実験に使用する予定である。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] ヒトiPS細胞から成熟した心筋細胞の 開発と安全性評価への応用2016

    • 著者名/発表者名
      諫田泰成、芦原貴司、黒川洵子
    • 雑誌名

      日薬理誌

      巻: 147 ページ: 1-5

    • 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートの不整脈研究への応用可能性:in silico不整脈学の観点から2015

    • 著者名/発表者名
      芦原貴司、黒川洵子、諫田泰成、原口亮、稲田慎、中沢一雄、堀江稔
    • 雑誌名

      生体医工学

      巻: 53 ページ: 100-105

    • オープンアクセス
  • [学会発表] ヒトiPS細胞技術を用いた次世代心臓安全性評価: JiCSAの取り組み2016

    • 著者名/発表者名
      諫田泰成
    • 学会等名
      第89回日本薬理学会年会シンポジウム
    • 発表場所
      バシフィコ横浜
    • 年月日
      2016-03-09 – 2016-03-11
  • [学会発表] 内向き整流性カリウムチャネルを過剰発現させたヒト iPS 由来心筋細胞を用いた薬理作用解析2016

    • 著者名/発表者名
      Erina Hayashi, Reiko Kimura, Min Li, Tomoko Ando,Takashi Ashihara, Yuko Sekino, Tetsushi Furukawa, Yasunari Kanda, Junko Kurokawa.
    • 学会等名
      第89回日本薬理学会年会
    • 発表場所
      バシフィコ横浜
    • 年月日
      2016-03-09 – 2016-03-11
  • [学会発表] ヒトiPS細胞由来心筋の活動電位形成に関連する遺伝子の定量的発現解析におけるリファレンス遺伝子の選定2016

    • 著者名/発表者名
      Reiko Kimura, Masami Kodama, Kazuharu Furutani, Yasunari Kanda, Yoshihisa Kurachi , Yuko Sekino, Tetsushi Furukawa, Junko Kurokawa
    • 学会等名
      第89回日本薬理学会年会
    • 発表場所
      バシフィコ横浜
    • 年月日
      2016-03-09 – 2016-03-11
  • [学会発表] ヒト iPS 細胞由来の成熟心筋細胞の作製と標準化に向けた次世代評価法の開発2016

    • 著者名/発表者名
      諫田泰成
    • 学会等名
      第3回心臓安全性に関するシンクタンクミーティング2016合同公開シンポジウム
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2016-02-18
  • [学会発表] ヒトカリウムチャネル遺伝子導入によるヒトiPS細胞由来心筋細胞の成熟化のメカニズム-発現レベルからの考察2015

    • 著者名/発表者名
      児玉昌美、李敏、芦原貴司、諫田泰成、関野祐子、古川 哲史、黒川洵子
    • 学会等名
      生体機能と創薬シンポジウム2015
    • 発表場所
      千葉
    • 年月日
      2015-08-27
  • [学会発表] ペーシング可能なヒトiPS細胞由来心筋細胞を用いたQT延長薬剤の作用解析2015

    • 著者名/発表者名
      黒川洵子、芦原貴司、諫田泰成、古川哲史
    • 学会等名
      第10回トランスポーター研究会年会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2015-06-21
  • [備考] 国立衛研・薬理・第二室

    • URL

      http://www.nihs.go.jp/phar/lab/lab2.html

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公開日: 2017-01-06  

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