研究課題
本年度は、線虫において神経軸索再生を抑制する因子の候補として同定されたSVH-4およびSVH-6について解析を行った。SVH-4は受容体型チロシンキナーゼであるが、その哺乳動物ホモログにおけるこれまでの知見から、ある特定の種類のリガンドによって活性化される可能性が考えられた。そのリガンドのホモログをコードする遺伝子は線虫に複数存在していたので、それらについて神経軸索再生への関与について調べたところ、ある1つのリガンド遺伝子の変異によって神経軸索再生が低下することを見出した。またその変異は、svh-4欠損変異と二重変異にしても、その神経軸索再生低下の表現型をエンハンスしなかった。さらにリガンド遺伝子の変異による神経軸索再生率の低下は、SVH-4を多量発現させることで抑圧できた。これらのことから、SVH-4がこのリガンドと同一経路かつ下流で機能することが明らかとなった。また、SVH-4がどこで機能するか知る目的で、SVH-4::GFP融合遺伝子を作成して神経で発現させたところ、軸索に沿って特徴的なドット状の局在を示した。さらに神経切断後には神経軸索の先端に形成されるbulbに速やかに蓄積すること、また成長円錐が形成されるとその先端によく局在することが判明した。それとは別にSVH-6についても解析を行い、SVH-6の持つアクチン結合ドメインはその機能に対して必要ではなくむしろ抑制的な役割を持つこと、さらにSVH-6が以前同定した受容体型チロシンキナーゼSVH-2の遺伝学的上流で機能することも見出した。
2: おおむね順調に進展している
当初の研究計画の3つのサブテーマのうち、2つについては予定通りに進展している。
今後、順調に推移しているテーマについてさらに進めることで、残りの1年の間に研究成果をまとめてゆく。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件)
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