滑脳症の責任遺伝子の多くが微小管関連因子に分類されることから、微小管上での細胞内輸送を指標に疾患発症に至る分子メカニズムの解明を試みた。まずは、LIS1-細胞質ダイニンと順行性輸送複合体を形成する微小管フラグメント(tMT)との結合因子としてアルファ-シヌクレインを同定し、①LIS1含む輸送複合体と挙動を共にしていること、②tMTの重合/脱重合を制御していること、③この細胞内輸送制御がレビー小体(パーキンソン病、認知症で見られる封入体)形成に関与していることを明らかにした。本研究成果は、これらの神経変性疾患発症に至る共通の分子基盤としての細胞内輸送の重要性を大いに支持するものである。
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