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2014 年度 実績報告書

転写抑制因子Bach2による慢性アレルギー炎症制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 26293069
研究機関愛媛大学

研究代表者

山下 政克  愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00311605)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードアレルギー / 炎症 / 免疫
研究実績の概要

転写抑制因子Bach2のT細胞特異的欠損マウスで自然発症する好酸球性肺炎について解析を行ない、その分子機構の一端を明らかにした。具体的には、Bach2がTh2サイトカイン遺伝子座のlocus コントロール領域に結合し、ヒストンH3K27のアセチル化抑制を介してTh2サイトカイン産生を負に制御していること、グルタミン代謝関連酵素であるGls2の発現抑制を介してエフェクターCD4 T細胞の分化を調節していることが分かった。さらに、子Bach2のT細胞特異的欠損マウスで自然発症する好酸球性肺炎は、グルタミン代謝阻害剤の投与により抑制できることを明らかにした。これらの成果については、論文投稿中である。現在は、Gls2コンディショナル欠損マウスを入手し解析を進めている。
Bach2のパートナー分子の同定に関する研究では、無細胞タンパク質合成システムとアルファスクリーン法により解析を進め、3つの候補分子を同定した。現在は、最も強い結合が認められた”分子X”に関して解析中である。分子Xは、セリン・スレオニンのリン酸化修飾を受けること、Bach2は、低リン酸化型の分子Xと選択的に結合すること、高リン酸化型の分子Xは、Bach2以外のパートナー分子と結合し活性化複合体を形成することなどが明らかとなってきた。今後は、この分子Xのリン酸化酵素を同定することが必要になってくると考えられる。
Bach2の発現制御機構に関する研究では、Bach2遺伝子上流にあるスーパーエンハンサーがその発現に必要であることが他のグループから報告されたが、申請者らの研究から、スパーエンハンサー領域の活性維持に主要抑制因子Meninが関与している可能性が示唆されている。MeninによるBach2の発現制御に関しては、本年度論文発表を行なった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

平成27年度末までに達成を予定していたBach2パートナー分子の同定が、平成26年度に終了した。また、Bach2欠損マウスにおける好酸球性肺炎自然発症の分子機構解明についても、発症に関与する分子を幾つか同定できているとともに、低分子化合物投与による病態改善にも成功している。

今後の研究の推進方策

(1)Bach2のグルタミン代謝制御を介した、ヘルパーT細胞サブセット分化の制御機構の解明を進める。特に、本年度は制御性T細胞分化における役割を中心に解析する。また、Bach2の標的分子であるGls2のT細胞特異的欠損マウスを作製し、好酸球性肺炎における役割を解析する。
(2)Bach2とパートナー分子Xの結合についてさらに解析を進める。特に、分子Xのリン酸化制御によるBach2との結合調節について明らかにする。
(3)Bach2欠損マウス、およびBach2/Stat6ダブル欠損マウス(IL-4の関与をなくすため)を用いて、セリアック病のモデルマウス作製を進める。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Menin-Bach2 axis is critical for regulating CD4 T-cell senescence and cytokine homeostasis.2014

    • 著者名/発表者名
      Kuwahara M, Suzuki J, Tofukuji S, Yamada T, Kanoh M, Matsumoto A, Maruyama S, Kometani K, Kurosaki T, Ohara O, Nakayama T and Yamashita M.
    • 雑誌名

      Nature Communicationsature Communications

      巻: 5 ページ: 3555-3566

    • DOI

      10.1038/ncomms4555.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Bach2 controls Th2 cell-mediated immune responses through regulation of glutaminolysis2014

    • 著者名/発表者名
      Kuwahara M, Ochi M, Kiyoi T, Kurosaki T and Yamashita M.
    • 学会等名
      第43回日本免疫学会総会・学術集会
    • 発表場所
      京都国際会議場
    • 年月日
      2014-12-10 – 2014-12-12
  • [学会発表] Bach2-Blimp1 axis plays an important role in the regulation of allergic airway inflammation2014

    • 著者名/発表者名
      Izumoto M, Kuwahara M, Kiyoi T, Shinoda K, Nakayama T, Kurosaki T and Yamashita M.
    • 学会等名
      第43回日本免疫学会総会・学術集会
    • 発表場所
      京都国際会議場
    • 年月日
      2014-12-10 – 2014-12-12
  • [学会発表] Th2細胞分化におけるグルタミン代謝の役割とBach2による制御2014

    • 著者名/発表者名
      山下政克
    • 学会等名
      第2回がんと代謝研究会
    • 発表場所
      東京理科大学葛飾キャンパス
    • 年月日
      2014-07-10 – 2014-07-11
  • [学会発表] 転写調節因子Bach2によるヘルパーT細胞サブセット分子とアレルギー性気道炎症の制御2014

    • 著者名/発表者名
      桑原誠、山下政克
    • 学会等名
      第24回 Kyoto T Cell Conference
    • 発表場所
      京都平安ホテル
    • 年月日
      2014-05-16 – 2014-05-17

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公開日: 2016-06-01  

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