研究課題
本年度当初に計画したBach2欠損マウスを用いた慢性食物アレルギー(セリアック病)モデルの確立に関する研究は、T細胞特異的Bach2欠損マウスにおいて卵白アルブミン抗原に対する慢性食物アレルギーの発症が上手く誘導されず予定通りには進まなかった。Bach2遺伝子の転写調節機構の解析研究では、活性化CD4 T細胞におけるBach2の発現低下が部分的にではあるが、ラパマイシン処理によって抑制されたことから、mTORC1下流に位置する分子がBach2発現を制御していることが分かった。現在、転写因子FoxO1の役割について解析中である。また、培養細胞にBach2遺伝子を導入して強制発現しウエスタンブロッティングを行なったところ、移動度の異なる2つのバンドが検出されたことから、Bach2タンパク質は細胞内で何らかの修飾を受けている可能性が明らかとなった。Bach2は、転写調節因子Batfと複合体を形成し転写抑制能を発揮することを私たちは本申請研究の成果として報告しているが、Batfと結合できるのは移動度の大きいBach2タンパクだけであった。このことは、Bach2がリン酸化などの修飾を受けることでBatfとの結合能を失い、転写抑制活性を失う可能性を示唆している。これまでにmTORやAktがBach2のリン酸化に関与していることが報告されていることから、TCRシグナルで活性化したこれらの酵素がBach2をリン酸化することで一過性にBach2標的遺伝子の発現が上昇し、T細胞分化が誘導されるのではないかと考え現在解析を進めている。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
Nature Communications
巻: 7 ページ: 12596-12614
10.1038/ncomms12596
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http://ehime-u-immunology.com/index.html