研究課題
私たちは以前MITOLの基質としてMitofusin2(Mfn2)を同定した。Mfn2は小胞体膜上にも局在し、ミトコンドリア外膜上のMfn2と手をつなぐことにより、両オルガネラを繋ぎ留めている。MITOLが小胞体-ミトコンドリア膜接触場であるMAMにも局在していることがわかったので、Mfn2との関係について解析を行った結果、MITOLはMfn2をユビキチン化して分解ではなくMfn2の活性化を誘導し、小胞体-ミトコンドリア間相互作用を制御していることを示した (Mol. Cell 2013)。小胞体とミトコンドリアの相互作用の破綻は、Mfn2の機能異常により発症するシャルコー・マーリー・トゥース病だけでなく、アルツハイマー病の病態にも関与することが報告され、その重要性が注目されている。今回、私たちはMAMの新たな生理的役割を明らかにするために、MITOLの新しい基質を探索した結果、小胞体センサーの中心分子であるIRE1 αを同定した。MITOLはIRE1aと結合してユビキチン化を誘導した。このユビキチン化はIRE1αの分解を誘導するのではなくIRE1αのオリゴマー化を制御して細胞死シグナルを抑制していることがわかった。これらの研究成果はミトコンドリアがMITOLによるIRE1αのユビキチン化を介して小胞体ストレスによる細胞の運命決定に密接に関与していることを示すとともに、小胞体-ミトコンドリア膜接触場が小胞体ストレス応答に重要な役割をしていることが示唆された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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医学のあゆみ
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