研究課題/領域番号 |
26293074
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研究機関 | 滋賀県立成人病センター(研究所) |
研究代表者 |
谷垣 健二 滋賀県立成人病センター(研究所), その他部局等, その他 (70362473)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | Cxcr4 / Cxcl12 / SDF1 / 22q11 deletion syndrome / lymphoblastoid cell line / Dgcr8 / schizophrenia / EBV |
研究実績の概要 |
我々は、ヒトで統合失調症を多発する22q11.2欠損症候群のモデルマウスの神経発生学的解析を行い、海馬の歯状回と大脳皮質の介在神経細胞の発生異常があることを見出した。 さらに、この神経発生異常が、22q11.2領域に存在するmiRNA のプロセッサーのDgcr8 の欠損によって生じるCxcl12 (Sdf1) / Cxcr4 シグナルの異常で惹起されることを明らかにしてきた。ヒトの散発性の統合失調症患者の嗅上皮においてCxcl12が有意に減少していることから、Cxcl12/Cxcr4 シグナルの異常は、22q11 欠損症候群だけでなく、統合失調症全般において、その機能障害が認められる可能性が示唆された。 我々は、ヒト 22q11 欠損症候群及び統合失調症患者において、Cxcl12 / Cxcr4 シグナルに関与する分子の発現量に変動がないか、Cxcl12 / Cxcr4シグナルの機能異常が認められないか検討を行っている。 今回、我々は22q11欠損症候群7名、統合失調症患者60名の末梢血よりEBV で樹立されたlymphoblastoid cell line を用い、Cxcl12 / Cxcr4 シグナルに関与する分子の発現量を検討すると同時に、chemotaxis assayによってCXCL12 への反応性の定量化を行った。また、22q11.2欠損症候群モデルマウスを用いて、Cxcr4 シグナルの異常が成体でも認められるか検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していたヒト 統合失調症患者由来のlymphoblastoid cell line を用いたCxcr4 シグナルの検討が終了したため。
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今後の研究の推進方策 |
22q11欠損症候群7名、統合失調症患者60名の末梢血よりEBV で樹立された lymphoblastoid cell lines を用い、chemotaxis assay、Ca imagingにてCXCL12 への反応性の評価をおこなってきた。平成29年度は22q11欠損領域に存在する遺伝子で、どの遺伝子がlymphoblastoid cellに発現しているかを調べると同時に、RNAseq を用いて22q11欠損症候群のlymphoblastoid cellで発現が異なる遺伝子を同定する。発現の異なる遺伝子が同定されれば、CRISPR, RNAi の手法を用いてその遺伝子がCxcr4 シグナルに及ぼす影響を検討する。また、22q11.2欠損症候群モデルマウスを用いて、Cxcr4 シグナルの異常が成体でも認められるか検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入した実験機器が入札により安く購入できたため。
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次年度使用額の使用計画 |
lymphoblastoid cell lines を用いたCxcr4 シグナルの検討するための実験に使用する。
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