発達緑内障は隅角の発育異常により眼圧が上昇し、視神経に障害をきたす難治性疾患である。放置すると視野狭窄が進行し、失明に至ることもあり、重篤な視覚障害の原因となる。発達緑内障の治療の基本は進行予防、進行抑制であり、早期発見、早期治療が極めて重要である。発達緑内障の発症には、特定の遺伝的要因が重要な役割を果たしていると考えられ、その遺伝的要因の解明は発達緑内障の早期発見・早期治療に繋がる。本研究では、遅発型発達緑内障(主に10~20歳代で発症)が多発する複数家系を対象に、全遺伝子上のエクソン領域の全塩基配列を決定(エクソーム解析)することにより、遅発型発達緑内障の発症要因となる疾患責任遺伝子を特定する。本研究は、発達緑内障の早期発見、早期治療に繋がるだけでなく、疾患の根治治療を目的とした新規治療薬の開発を可能にする。 本研究のエクソーム解析により、遅発型発達緑内障発症の原因となる遺伝子変異を複数同定した。同定した全ての遺伝子変異は位置する遺伝子の機能に重大な影響を与えるものであり、発達緑内障の発症において重要な役割を担っていることが示唆された。今後本研究成果を継続して検討・評価することで、発達緑内障の原因遺伝子が介する疾患発症メカニズムの解明が期待される。
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