研究課題
【目的】MPO-ANCA関連血管炎では、MPO-ANCAに病原性があることが知られている。そのMPO-ANCAの産生には、好中球細胞外トラップneutrophil extracellular traps (NETs)の過剰が関わっている。NETs形成の経路において中心的な役割を果たしているpeptigylarginine deiminase 4 (PAD4)の作用を阻害することによりMPO-ANCAの産生を抑制できることを示す。【方法】健常者の好中球にphorbol myristate acetate (PMA)またはPMAと抗甲状腺薬プロピルチオウラシル(PTU)を添加して誘導するNETsに対するPAD4阻害薬Cl-amidineの効果を検討した。次に、BALB/cマウスにPTUを経口投与し、PMAを腹腔内投与することによるMPO-ANCA産生モデルを作成した。このマウスを2群に分けて、一方にはCl-amidineを連日腹腔内投与し、もう一方の群にはPBSを連日腹腔内投与した。2週間後に解剖して、血液ならびに組織学的所見を比較した。【結果】In vitroで誘導されるNETs形成は、Cl-amidineにより有意に抑制された。In vivoでも、Cl-amidine投与群において腹膜におけるNETsの形成が抑制され、血中MPO-ANCA値がPBS投与群に比べて有意に低値であった。【結論】PAD4阻害薬はNETsの形成阻害を介してMPO-ANCA産生を抑制する。
2: おおむね順調に進展している
平成27年度の研究計画はほぼ実施できており、結果も得られている。
MPO-ANCA関連血管炎の病態指標となる新規マーカーの同定を目指した研究を継続する。
試薬やプラスチック器具等の実験消耗品について、在庫を優先して使用したため、当初の予定よりも支出が抑えられた。
試薬、キット、プラスチック器具等の購入ならびに実験動物飼育費等に、計画的に使用する。また、論文投稿料や雑誌への掲載費、学会発表旅費等の成果発表費にも充てる予定である。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (2件)
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