研究課題
抗TIM-4抗体の抗炎症作用のメカニズムについて、OVA誘発性喘息モデルマウスを用いて以下のことを明らかにした。発症期に抗TIM-4抗体を投与した結果、気道過敏性の抑制、肺胞洗浄液中の好酸球数の減少およびIL-13産生の減少、粘液産生細胞数の減少など、明らかな病態の改善が認められた。この結果は、リンパ節CD4 T細胞の増殖やサイトカイン産生、血清中の抗OVA抗体価には影響しなかった。従って抗TIM-4抗体は、T細胞・B細胞の働き以外に作用して喘息症状を抑制したと考えた。マスト細胞は炎症性サイトカインを産生し肺炎症に関与する。我々は、OVA誘発性喘息モデルマウスの肺胞洗浄液中に遊離型となったsTIM-4分子が増加することを見出した。sTIM-4はマスト細胞に発現するペア型免疫グロブリン様レセプターであるLMIR5と結合して、FceRI刺激とともにIL-6やIL-13の産生増強に働くことを、Lmir5 siRNAやLmir5-/- マスト細胞を用いて明らかにした。また予想外のことにsTIM-4は、マスト細胞に発現するTIM-3とも結合し、この結合がsTIM-4-LMIR5結合によりもたらされるサイトカイン産生増強に対して抑制的に作用することを、Tim3 siRNAやTim3-/- マスト細胞を用いて明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
平成26年度に予定していた研究項目の内、最重要であった「マクロファージやマスト細胞に発現するLMIR5とTIM-3に対するTIM-4との相互作用を明らかにし、抗TIM-4抗体の作用機序を明確にする」研究成果が順調に上がっている為。
これまでの研究から、in vitro刺激でナイーブCD4 T細胞を活性化する際、細胞表面に発現誘導される蛋白分子は、通常全てのCD4 T細胞上に発現が認められる。しかしTIM-3に限っては半数以上の細胞が発現しない。このことからTIM-3を発現するT細胞は何らかの特徴的な機能を持つ可能性がある。サイトカイン産生や発現蛋白質種類を解析してin vitro, in vivoにおけるTIM-3発現T細胞の機能を明らかにする研究を重点的に進めていく。
TIM-3発現T細胞の役割を調べるため、活性化したCD4 T細胞をTIM-3の発現の有無により2群に分けてmRNAを抽出し、マイクロアレイ解析を行って細胞内遺伝子の発現の差違を検討する予定だったが、より良い条件が選定できず実施できなかった為。
T細胞にTIM-3を効率よく発現させる条件が設定され次第、マイクロアレイ解析を行う。
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すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 11件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (7件) 備考 (1件)
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