研究課題
項目1 Dicer活性の低いがん細胞でも効果を発揮する補充型miRNAプラトフォームの開発:一般的にがん細胞は、Dicerの活性が低いため、miRNAの発現量が低下していると考えられている。従ってmiRNAの補充療法を考えた際は、Dicer非依存的なmiRNAのAgo2の取り込みが重要と考える(Nature 425:584,2010, Science 328:1694,2010)。このような背景の中、今年度は、特殊な構造をとるmiRNAの開発に成功しghRNAと命名した。また、Dicer -/-細胞の作製にも成功し、ghRNAがDicer非依存的に作用することが明らかになった。項目2 疾患細胞特異的に発現する分子を同定し、それに結合可能なペプチドを単離:今年度は、EGFRに結合するペプチドの単離を行った。項目3 エクソソーム成分に類似した脂質をコンジュゲートしたmiRNAの開発:エクソソームは、RNaseに抵抗性で、生理的に存在する生体内成分であることから、理想的なmiRNA/siRNAのドラッグデリバリーシステムと考えられるが、一方で生体成分であるがゆえにMHCクラスI,IIの発現があり、生物製剤として免疫拒絶の問題がある。したがって、エクソソームに類似した人工的物質を作ることが理想的である。今年度は、BONAC社の協力を得てエクソソームと同サイズの粒子を作製することに成功した。項目4 特発性肺線維症(IPF)及び肺がんに対するmiRNA補充療法の非臨床開発:今年度は、まず活性化Rasによる肺腺癌モデルでの検討を行った。DDSとしてはキトサンを用い、標的miRNAにはmiR-34aを用いて検討を開始している。
2: おおむね順調に進展している
研究項目1~4においていずれも計画に沿って進展している。
我々が目指すのは、早期の臨床応用である。そのためには、研究項目1~4 のすべてが必要である。特に項目1のmiRNAプラットフォームはほぼ完成形になっている。そこで、今後はこのmiRNAを、どのように病変部に送達していくのかがポイントになる。研究計画にも記載したが、そのためには、エクソソームを用いること、やペプチドを使い臓器特異性を付加すること、を考慮している。一方で、これ以外にLNPの技術を用いることも、研究の進展によっては考慮していく。また、将来の薬品化のことも考慮し、個々の技術の特許化も行っていく。
未使用の端数額を繰り越ししたため。
27年度の消耗品とし合算して使用する。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件、 謝辞記載あり 10件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (17件) (うち招待講演 2件)
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