研究課題
microRNA(miRNA)は20塩基長前後の小RNAで、生体の様々な生理活性を制御する。従来の手法では標的にできない分子に対してmiRNAを用いた治療が期待されている。これまで、我々は、種々の疾患における臨床応用を前提にして研究を行い(1)エクソソームを利用したmiRNAのDrug delivary system(DDS)の開発、(2)標的細胞指向性の核酸医薬品の開発、(3)治療標的となるmiRNAの単離を行ってきた。この研究成果を踏まえ、本研究では、(1)人工エクソソームの開発、(2)Dicer 非依存型miRNAの開発、(3)ペプチド 付加型miRNAの開発を行う。これらの成果によって、局所ならびに全身投与のmiRNA補充療法のプラットホーム開発を行い、既存の手法では完治ができない特発性肺線維症や肺がんなどの難治性疾患治療の臨床応用を目指した。平成27年度は、(1)Dicer活性の低いがん細胞でも効果を発揮する補充型miRNAプラトフォームの開発、および(2)特発性肺線維症(IPF)及び肺がんに対するmiRNA補充療法の非臨床開発の検討を主に行ってきた。その結果、我々が開発した短鎖型核酸医薬は、現在報告されているRNA干渉型の核酸医薬として最も小さく、免疫応答性が低く抑えられている事が明らかになった。また、短縮化に伴い一本鎖ヘアピン構造の大部分がガイド鎖で構成されることから、パッセンジャー鎖による望まない遺伝子抑制が消失しており、その点でも副作用が抑えられた核酸医薬となっている事が示された。
2: おおむね順調に進展している
研究計画に沿って順調に進展している。
出来る限り早期の臨床応用を目指している。そのために、DDSに関しては重要な課題と考えている。従って平成28年度は、従来の研究計画に加えて、AAVベクターやHSVウイルスを利用した遺伝子送達の手法も視野にいれて研究を行っていく。
予定していた実験計画に遅れが出たため。
引き続き実験を継続する。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 8件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
Mol Ther Nucleic Acids.
巻: 5 ページ: e292
10.1038/mtna.2016.1
J Obstet Gynaecol Res.
巻: 10.1111/jog.12995 ページ: 052
10.1111/jog.12995
Hum Mol Genet.
巻: ahead of print ページ: ahead of print
Int. J. Mol. Sci.
巻: 17 ページ: pii: E172
10.3390/ijms17020172
J Pathol Inform
巻: 7 ページ: 7
10.4103/2153-3539.175380
Mol Ther Nucleic Acids
巻: 4 ページ: e258
10.1038/mtna.2015.34.
Med Hypotheses
巻: 85 ページ: 854-7
10.1016/j.mehy.2015.09.024.
Nature communications
巻: 6 ページ: 7600
10.1038/ncomms8600.