研究課題
本研究は、ライソゾーム局在型アミノ酸/オリゴペプチドトランスポーターSLC15A4による免疫制御機構を明らかにし、ライソゾームに依存した新規炎症制御機構を理解することによって自己免疫疾患の新しい治療戦略に資する基盤的概念を構築することを目的として行った。本年度は、マスト細胞とアレルギー応答におけるSLC15A4の役割とメカニズムの解明をすすめ、マスト細胞においてSLC15A4はmTORの活性制御に関わり、その結果SLC15A4を欠損するとmTOR活性が低下することによりTFEBの核内移行が更新し、マスト細胞でのライソゾーム生合成が亢進することを明らかにした。それに伴い、マスト細胞のヒスタミン含量および放出量の亢進が認められ、受動皮膚アナフィラキシー反応の亢進、およびIL-33によって誘導される呼吸器炎症の増悪が認められたが、全身性アナフィラキシーにおいては野生型マウスとの差は認められなかった。以上の結果から、SLC15A4の機能阻害によって一部の局所的なアレルギー応答が増強されることが示唆された。また、SLC15A3欠損マウスおよびSLC15A3/SLC15A4二重欠損マウスを樹立し、表現型解析をすすめた結果、特定の免疫細胞集団に異常を見いだし、疾患病態における重要性についてさらに検討を進めている。SLC15A3/SLC15A4二重欠損マウスにおいては、造血系細胞の分化増殖に異常は認められず、生殖能力においても異常は認められなかった。現在のところ、この二重欠損マウスにおける異常は、SLC15A4欠損とSLC15A3欠損が独立した表現型として認められ、これら2種類のトランスポーター間では機能的相補性は低いことが示唆された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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